西日本福音ルーテル教会

西日本福音ルーテル教会：信仰と社会との間で

西日本福音ルーテル教会（WJELC）は、日本のプロテスタント教会の一つです。西日本地域を中心に、大阪府、兵庫県、岡山県、鳥取県、島根県、広島県、香川県、徳島県に加え、千葉県においても宣教活動を行っています。聖書に基づいた信仰を土台に、地域社会に根ざした活動を展開しており、神戸ルーテル神学校、聖書学院、「心に光を」メディアセンター、蒜山バイブルキャンプといった教育・研修施設も運営しています。さらに、香港、台湾、インドネシア、モンゴルなどの海外教会とも連携し、国際的なネットワークを築いています。

教会の特色：聖書信仰と信徒主義

WJELCの信仰の中核は聖書にあります。世界教会信条とルーテル教会が広く認める信条を受け入れ、万人祭司の考え方を重視しています。恵みの賜物を強調し、信徒一人ひとりが信仰生活の中心となる信徒主義と、シンプルで分かりやすい礼拝形式をモットーとしています。教会運営は長老制を採用しており、女性伝道者の活躍も認めていますが、牧師職への就任は認めていません。

歴史：宣教開始から現在まで

教会の起源は1949年に遡ります。ノルウェー・ルーテル伝道会の宣教師夫妻が来日し、賀川豊彦氏の協力を得て兵庫県明石市で宣教活動を開始しました。中国での共産革命の影響もあり、ノルウェー・ルーテル伝道会は日本伝道を正式に決定し、中国から宣教師が移住してきます。その後、1962年に元ノルウェー・ルーテル伝道会に所属していた8教会が合同し、西日本福音ルーテル教会が正式に設立されました。1965年には宗教法人として認可を受け、現在に至っています。1990年には、放送伝道活動を終了した日本ルーテル・アワーからラジオ番組「ルーテルアワー・心に光を」を引き継ぎ、放送メディアを通じた宣教活動も積極的に行っています。

雇用調整助成金不正受給問題：信仰と社会規範との葛藤

2021年、WJELCは新型コロナウイルス感染症の影響による雇用調整助成金を不正受給していたことが発覚しました。2020年、教会は礼拝の休止を「実質的な休業」と判断し、助成金を申請、933万円を受給しました。しかし、牧師たちは休業期間中もオンライン礼拝の配信や信徒への連絡などを行い、実際には業務に従事していたことが指摘されました。教団は当初、牧師たちの活動を「無償奉仕」と認識していましたが、労働局からの指摘を受け、法的な解釈の違いを認識し、全額を返金しました。この問題は、信仰活動と社会規範の遵守とのバランス、組織運営における透明性、情報伝達における課題などを浮き彫りにしました。教会は謝罪を行い、第三者委員会による検証を実施することを表明しました。

今後の展望：信仰と社会への貢献

西日本福音ルーテル教会は、歴史と伝統を踏まえつつ、現代社会の課題に正面から向き合い、聖書に基づいた信仰を基盤に、地域社会に貢献していくことを目指しています。雇用調整助成金問題を教訓に、教会運営の透明性と責任を強化し、社会からの信頼回復に努める姿勢を示しています。今後の活動に注目が集まります。

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