西本正

西本正（にしもと ただし）

西本正（1921年 - 1997年）は、日本の撮影監督であり、香港映画界では賀蘭山（ホー・ランシャン）の名で広く知られています。彼のキャリアは、日本の映画界から香港へと広がり、数々の名作の撮影を手がけました。

生い立ちと初期のキャリア

1921年、福岡県（現在の筑紫野市）に生まれた西本は、幼少期に家族と共に満州国へ移住しました。そこで彼は満州映画協会に入社し、撮影部門でその才能を開花させ始めました。第二次世界大戦後、日本に引き揚げた西本は、東宝で撮影助手としてキャリアを再スタートさせます。

1948年には、太泉スタジオ（現在の東映東京撮影所）の最初の作品である、マキノ正博監督の『肉体の門』で山崎一雄カメラマンの助手として参加。その後、新東宝で三村明の助手として経験を積みます。そして、1956年、田口哲監督の『鉄血の魂』で撮影技師として独り立ちを果たしました。

香港での活躍

1957年、西本は若杉光夫監督と共に香港に招かれ、ショウ・ブラザーズで2作品の撮影を担当します。1958年には新東宝に復帰し、中川信夫監督の作品を多く手がけました。1960年に新東宝の社長が退任し、翌年には製作が停止される中、西本はすでに香港へと渡っていました。

1962年、第15回カンヌ国際映画祭では、西本が撮影を手がけた『楊貴妃』がコンペティション部門で上映され、彼はフランス高等映画技術委員会色彩撮影賞を受賞。国際的な評価を確立します。1966年以降、日活から井上梅次、中平康、古川卓巳などの監督が香港に招かれ、ショウ・ブラザースで作品を制作する際に、西本はその多くに関わり、重要な役割を果たしました。1974年までの13年間で、彼は香港で47本もの作品の撮影を担当しました。

主なフィルモグラフィー

西本正は、数多くの作品で撮影監督を務めました。以下にその一部を挙げます。

新東宝時代
『鉄血の魂』（1956年）
『波止場の王者』（1956年）
『警察官』（1957年）
『明治天皇と日露大戦争』（1957年）
『「青春万歳」より 源平恋合戦』（1957年）
『女王蜂』（1958年）
『楠公二代誠忠録』（1958年）
『亡霊怪猫屋敷』（1958年）
『憲兵と幽霊』（1958年）
『東海道四谷怪談』（1959年）
『雷電』（1959年）
『地下帝国の死刑室』（1960年）

ショウ・ブラザーズ時代
『燕子盗』（1961年）
『手鎗』（1961年）
『千嬌百媚』（1961年）
『楊貴妃』（1962年）
『白蛇傳』（1962年）
『梁山伯與祝英台』（1963年）
『武則天』（1963年）
『王昭君』（1964年）
『大酔侠』（1966年）
『藍與黒』（1966年）
『香港ノクターン』（1966年）
『風流鐵漢』（1966年）
『花月良宵』（1968年）
『狂戀詩』（1968年）
『殺機』（1970年）
『餓狼谷』（1970年）
『風月奇譚』（1972年）

その他の作品
『中国超人インフラマン』（1975年）
『ドラゴンへの道』（1972年）
『死亡遊戯』（1972年 - 1978年）
『Mr.Boo!ギャンブル大将』（1974年）

晩年と死

西本正は1997年にこの世を去りました。享年75歳から76歳でした。彼の撮影技術は、数多くの映画作品を通じて、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

関連人物

李翰祥（Li Han-hsiang）
林福地
岳楓（Yueh Feng）

外部リンク

西本正 - allcinema
西本正 - KINENOTE
西本正 - 日本映画データベース
* Tadashi Nishimoto - IMDb（英語）

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