西村昭五郎

西村昭五郎（1930年1月18日 - 2017年8月1日）は、日本の映画監督として知られています。滋賀県に生まれ、京都大学文学部仏文科卒業後、従兄である吉村公三郎監督の紹介をきっかけに、日活に入社。中平康ら著名な監督の下で助監督としての経験を積み重ねました。

1963年、監督デビュー作『競輪上人行状記』を発表。その後は、日活アクションや青春映画などを手掛けましたが、大きなヒット作には恵まれませんでした。1960年代後半からは、テレビドラマの演出に携わるようになり、『大江戸捜査網』などの作品に参加しています。しかしながら、ロマンポルノ開始以前にも14本の映画監督作品があり、ロマンポルノ作品で知られる長谷部安春監督の17本に次ぐ数となります。長谷部監督はロマンポルノに熱心に取り組んだわけではなく、後に一般映画へと転向しましたが、西村監督はロマンポルノ全盛期まで第一線で活躍し続けました。

1971年、日活が成人映画への路線転換を決断すると、西村監督は日活ロマンポルノの最初の作品となる『団地妻 昼下りの情事』を監督。白川和子を主演に迎え、大きな話題となりました。以降、ロマンポルノが終焉を迎えるまで、精力的に作品制作を続けました。「団地妻」シリーズや団鬼六原作作品など、数多くの作品を世に送り出し、性描写を大胆に取り入れた演出で知られていました。西村監督がメガホンを取ったロマンポルノ作品は、監督個人としては最多となる84本に及びます。

ロマンポルノ路線が1988年に終了した後も、西村監督はテレビドラマ制作に軸足を移し、2時間ドラマを中心に活躍しました。晩年は滋賀県の老人ホームで静かに暮らしていましたが、施設の移転に伴い青森県八戸市に転居。2017年8月1日、肺炎のため87歳で他界しました。

西村監督は、公の場では常にダンディなスリーピースのスーツを着用することで知られていました。湯布院映画祭でのインタビューでは、どんな質問にも「会社の要請でございます」と答えていたという逸話も残っています。作品づくりにおいては、気に入った脚本であれば、修正を加えることなくそのまま撮影を進める徹底ぶりでした。脚本家の中島丈博氏は、自分の脚本がそのまま映像化されたことに驚きを感じたと語っています。そのため撮影は非常に迅速に進み、撮影中に次の作品の台本をポケットに入れて持ち歩いていたそうです。その多作ぶりは、80本を超える監督作品数からも明らかです。しかし、気に入らない作品については容赦なく脚本家に差し戻すこともあったようです。小説の脚本化を依頼された白鳥あかね氏も、西村監督の厳しい要求に苦労した経験を語っています。

西村監督の好みを知るために、荒井晴彦氏が相談したところ、バンジャマン・コンスタンの小説『アドルフ』を挙げたというエピソードも残されています。西村昭五郎監督の作品群は、日本の映画史、特にロマンポルノ史において重要な位置を占めるだけでなく、その独特の人物像や制作スタイルも多くの人の記憶に刻まれています。監督作品リストには、映画作品84本に加え、多数のテレビドラマ作品も含まれています。これらの作品群は、西村昭五郎監督の才能と情熱を物語る貴重な記録となっています。

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