西村義明

西村義明：アニメーション業界を牽引するプロデューサーの軌跡

西村義明氏は、1977年生まれの日本のアニメーションプロデューサー、映画プロデューサーです。東京都大田区出身で、現在はアニメーション制作会社スタジオポノックの代表取締役を務めています。スタジオジブリでの経験を礎に、数々の話題作を世に送り出し、日本のアニメーション業界に多大な貢献を果たしている人物です。

ジブリ時代：才能開花と大きな転換点

横浜国立大学工学部在学中に映画製作への強い情熱を抱き、大学を中退してアメリカへ留学。帰国後、2002年にスタジオジブリに入社しました。当初は著作権・法務部門に所属していましたが、宮崎駿監督のTVCM制作や『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』といった話題作の宣伝に携わることで、徐々にプロデューサーとしての道を歩み始めます。フランス映画『王と鳥』の宣伝プロデューサーも担当し、幅広い経験を積みました。

転機となったのは、2006年11月、高畑勲監督作品のプロデュースに携わることになった時です。岸本卓氏と共に『かぐや姫の物語』の制作に当たり、岸本氏の降板後には一人でその大役を担い、5年以上の歳月をかけて2013年11月に公開にこぎつけました。この作品は、翌年の第87回米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートされる快挙を成し遂げました。

その後、鈴木敏夫プロデューサーの後を継ぎ、『思い出のマーニー』のプロデュースを担当。しかし、同年8月、スタジオジブリの映画制作部門の解体が発表され、西村氏は同年中にジブリを退社することとなります。

スタジオポノック設立と新たな挑戦

2015年4月、西村氏はアニメーション制作会社スタジオポノックを設立。社名にはクロアチア語で「深夜0時」を意味する言葉が用いられています。設立と同時に、ジブリ時代にプロデュースした『思い出のマーニー』は第88回アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートされました。

スタジオポノックでは、『メアリと魔女の花』（2017年公開）のような長編作品に加え、短編アンソロジー『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』（2018年公開）も制作。当初は高畑勲監督作品を含む4作品を予定していましたが、高畑監督の逝去により3作品となりました。

西村氏はプロデューサーとしてだけでなく、アヌシー国際アニメーション映画祭での審査員を務めるなど、国際的な舞台でも活躍しています。オリンピック文化遺産財団との共同制作や、2023年にはスタジオポノックの長編第2作目となる『屋根裏のラジャー』を公開するなど、精力的に活動しています。

批判と反省

2016年には、英紙ガーディアンのインタビューでジブリに女性監督がいなかった理由についての発言が海外メディアから批判を受け、西村氏は公式ツイッターで謝罪しました。この経験は、西村氏の今後の活動に大きな影響を与えたと考えられます。

まとめ

西村義明氏は、スタジオジブリでの経験と、スタジオポノックでの挑戦を通して、日本のアニメーション業界に大きな影響を与え続けています。アカデミー賞ノミネート作品や、話題の長編・短編アニメーション作品は、彼の高いプロデュース能力と、アニメーションに対する情熱の証です。今後の活動からも目が離せません。

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