西沢渓谷と東沢渓谷

西沢渓谷と東沢渓谷：奥秩父の秘境を巡る

山梨県山梨市に位置する西沢渓谷と東沢渓谷は、笛吹川の源流部に位置し、秩父多摩甲斐国立公園の一部をなす自然豊かな渓谷です。広瀬湖の上流に広がり、黒金山、国師岳、奥千丈岳、甲武信ヶ岳などの山々に囲まれた場所にあります。

地理的な特徴

これらの渓谷は、西滑山から続く尾根の麓で分岐し、北西に東沢渓谷、南西に西沢渓谷が伸びています。東沢渓谷は甲武信ヶ岳と国師ヶ岳を、西沢渓谷は国師岳と奥千丈岳を源流としています。この地理的な配置が、それぞれの渓谷に異なる景観を作り出しています。

西沢渓谷：手軽に絶景を楽しめる

西沢渓谷は、数々の滝や淵が連続する美しい渓谷です。整備されたトレッキングコースがあり、比較的軽装でもその魅力を満喫できます。特に秋の紅葉は見事で、多くの観光客が訪れます。コースの最奥部には、日本の[[滝百選]]にも選ばれた七ツ釜五段ノ滝があり、シャクナゲの群落も見られます。

トレッキングコースは安全のため反時計回りの一方通行が推奨されており、帰り道は渓谷の右岸上部に残る森林鉄道跡の緩やかな道を利用します。この廃線跡には、当時のレールが一部残っており、歴史を感じることができます。

東沢渓谷：沢登りを楽しむ

西沢渓谷から二俣吊橋を渡り、北へ進むと東沢渓谷に入ります。吊橋の先には「立入禁止」の警告があり、この渓谷が沢登り経験者向けのコースであることを示しています。一般のハイカーは遭難の危険があるため、入渓は推奨されていません。

東沢渓谷には道がほとんどなく、基本的には川を遡行します。しばらくは平坦な河原歩きが続きますが、ゴルジュ帯に入ると登山道が現れ、高巻きで進むことができます。田部重治の著書で紹介されたホラノ貝と呼ばれるゴルジュは、螺旋状の美しい形をしています。

さらに進むと、山の神と呼ばれる祠を過ぎ、再び河原に出ます。ここから、スラブ状の岩場や滝が連続し、美しい景観が広がります。冬には氷瀑となる乙女の滝や、東のナメ、西のナメなどが見所です。分岐を左に進むと金山沢、右に進むと釜ノ沢へと続き、釜ノ沢上流には、魚留の滝、千畳のナメ、両門ノ滝、ヤゲンの滝などが点在します。さらに上流を遡行すると甲武信小屋へとたどり着きます。

アクセス

山梨市街から国道140号を広瀬湖方面へ進むと渓谷の入口があります。周辺にはドライブイン、西沢山荘、道の駅みとみ、雁坂トンネルなどがあります。国道から林道に入り、車両通行止めになった場所から、西沢渓谷迂回路分岐や徳ちゃん新道の入口を経て、東沢渓谷と西沢渓谷の分岐点へとアクセスできます。

かつて渓谷には鉱山鉄道や森林鉄道が走っており、その廃線跡が散策道として利用されています。特に旧森林鉄道部分の南側は冬季に通行止めとなるので注意が必要です。

公共交通機関を利用する場合は、山梨市駅から山梨市営バス西沢渓谷入口行に乗車し、終点で下車します。シーズン中は塩山駅から甲州市市民バスの臨時運行もあります。

その他

この地域は奥秩父山塊の一部であり、秩父多摩甲斐国立公園に指定されています。また、「日本の秘境100選」、「平成の名水百選」にも選ばれるほど、自然環境の豊かな場所です。渓谷には多くの動植物が生息しており、自然観察を楽しむことができます。


これらの渓谷は、手軽に自然を楽しみたい人から、本格的な沢登りを楽しみたい人まで、幅広い層におすすめできる場所です。ぜひ一度訪れて、奥秩父の自然を満喫してください。

関連情報
秩父多摩甲斐国立公園
奥秩父山塊
日本の秘境100選
平成の名水百選
日本の峡谷・渓谷一覧

外部リンク
秩父多摩甲斐国立公園 - 環境省
* 豊かな自然、美しい景観 - 山梨市

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