西源四郎

西源四郎：激動の時代を駆け抜けた外交官

西源四郎（にし げんしろう）は、文久2年（1862年）に長門国（現在の山口県）で生まれ、昭和3年（1928年）に没した日本の外交官です。彼は、幕末から明治、大正と激動の時代を、国際社会で活躍しました。

生い立ちと学問

西源四郎は、長府藩士・西房至の次男として生まれました。幼少期から漢学を学び、上京後は高谷竜洲の塾でさらに学識を深めます。この塾では、後に作家として名を馳せる二葉亭四迷など、多くの俊英たちと机を並べました。西源四郎は、早くから国際的な舞台で活躍する礎を築いていたと言えるでしょう。

外務省への道とヨーロッパ留学

明治16年（1883年）、西源四郎は外務省の清国派遣留学生に選ばれ、中国へ渡りました。その後、明治18年（1885年）にはベルギーへ留学し、大学で行政学を研究します。明治24年（1891年）には行政博士号を取得して帰国。明治26年（1893年）には外務省に入省し、参事官などを歴任、その才能を発揮し始めました。

外交官としての活躍

明治30年（1897年）にドイツ公使館の三等書記官に任命されてからは、海外勤務が中心となります。その後、二等書記官に昇格し、オランダ、オーストリアなどヨーロッパ各地の公使館を転々とします。明治45年（1912年）には大使館参事官に就任、大正4年（1915年）にはシャム（現在のタイ）の特命全権公使に任命されました。その後、ルーマニア特命全権公使として活躍し、大正12年（1923年）までその任を務めました。西源四郎は、各国の政治情勢や文化に通じ、外交官として国際社会で重要な役割を果たしました。

晩年

大正13年（1924年）に外務省を辞任し、故郷の長府に戻って病気療養に努めます。しかし、昭和3年（1928年）、脳溢血により65歳で生涯を閉じました。激動の時代を外交官として駆け抜けた西源四郎は、その生涯を国際社会と日本の発展に捧げたと言えるでしょう。

栄典

西源四郎は、その功績が認められ、数々の栄典を授与されています。

位階
大正13年（1924年）：従三位
勲章
1895年（明治28年）：勲六等瑞宝章
1902年（明治35年）：双光旭日章
大正9年：勲二等瑞宝章
昭和3年（1928年）：勲二等旭日重光章
外国勲章
1900年（明治33年）：赤鷲勲章第4等（ドイツ帝国）
1908年（明治41年）：聖シルウェステル教皇勲章司令官（ローマ教皇庁）
1910年（明治43年）：フランツ・ヨーゼフ勲章有星司令官（オーストリア＝ハンガリー帝国）
1920年（大正9年）：タイ王冠勲章第1等（タイ王国）
1923年（大正12年）：ルーマニア星勲章大十字（ルーマニア）

これらの栄典は、西源四郎が国際社会でいかに貢献したかを物語っています。

家族

西源四郎は、明治26年（1893年）に伊藤博文の三女・朝子と結婚し、一人娘の清子をもうけました。清子の子孫もまた、各界で活躍しています。

藤井清子（1895年 - 1983年）：チェコスロバキア公使・藤井啓之助の妻
田付美代子（1916年 - ?）：デンマーク大使・田付景一の妻
藤﨑芙佐子（1921年 - ?）：最高裁判所裁判官・藤﨑万里の妻
藤﨑一郎（1947年 -）：駐アメリカ大使、元外務審議官
鶴見蔦子（1925年 - ?）：ジュネーヴ国際機関日本政府代表部大使・鶴見清彦の妻
松本悦子（1928年 - 2024年）：防衛庁長官・松本十郎の妻
松本剛明（1959年 -）：衆議院議員
寺内玲子（1962年 -）：財務省大臣官房参事官・寺内肇の妻
藤井英之（1936年-）

西源四郎の血筋は、現代の日本にも受け継がれ、その影響は多岐に渡っています。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第14版 下巻』人事興信所、1943年。
吉田祥朔『増補 近世防長人名辞典』マツノ書店、1976年。
井関九郎編『近世防長人物誌 天』マツノ書店、1987年。
『法学セミナー』日本評論社、2011年。
* 「故従三位勲二等西源四郎叙勲ノ件」 アジア歴史資料センター Ref.A10113039400

西源四郎の生涯は、日本の近代史における外交の発展を語る上で欠かせないものであり、その功績は後世に語り継がれるべきでしょう。

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