西猪谷関所

西猪谷関所（にしいのたにせきしょ）

概要

西猪谷関所は、現在の富山県富山市猪谷地区、かつて猪谷字峠と呼ばれた場所に位置していました。江戸時代、加賀藩の支藩であった富山藩が、隣国である飛騨国との境を通る主要街道、飛騨街道上に設置した重要な関所です。その役割を終えた現在でも、関所の跡地は「猪谷関跡（いのたにせきあと）」として、富山市の文化財（史跡）に指定され、歴史的な価値が認められています。

歴史

この関所が設けられたのは、寛永18年（1641年）のことです。富山藩が領国の境を守り、人や物の出入りを管理するために設置されました。以来、幕末の動乱期を経て、明治維新後の明治5年（1872年）に廃止されるまで、およそ230年以上にわたり機能していました。国の制度変更に伴いその役目を終えた後、関所は取り壊されました。

遺構

現在、関所が置かれていた場所には、当時の歴史を今に伝える石碑と案内看板が立てられています。これにより、訪れる人々はかつてここに重要な施設が存在したことを知ることができます。また、関所業務にあたっていた番所役人が居住していたとされる役宅の一部が、貴重な遺構として今なお残されており、当時の建物の様子を偲ぶ手がかりとなっています。

猪谷関所館

西猪谷関所の歴史や関連資料を後世に伝えるため、また地域の振興拠点として、猪谷関所館が建設されました。富山市猪谷978-4に位置し、関所に関する博物館としての機能と、細入村南部地区の魅力向上を目指すまちづくりの拠点という二つの役割を担っています。

この関所館の建設は、富山市と合併する前の細入村時代に進められた地域振興計画に基づいています。特に、昭和60年（1985年）3月に策定された『細入村南部地区魅力あるまちづくり推進計画』を基盤とし、『歴史と文化のふるさとづくり事業』の一環として計画されました。さらに、『細入村総合計画』の後押しもあって、建設が具体化しました。

建設の大きな契機となったのは、代々関所守を務めていた橋本家から、西猪谷関所に関する極めて価値の高い古文書が村に寄贈されたことです。この膨大な資料群を適切に保管・展示する施設の必要性が高まり、建設へとつながりました。猪谷駅の東隣にある旧国鉄官舎跡地（敷地面積1,780平方メートル）に、昭和62年（1987年）8月29日に着工（起工式は9月5日）、翌昭和63年（1988年）3月29日に竣工しました。建設にかかった総費用は約1億2,155万円でした。

建物は鉄筋コンクリート造2階建てで、広大な敷地面積1,858.00平方メートルに対し、建築床面積は909.68平方メートル（1階486.96平方メートル、2階422.72平方メートル）を有します。館内には、

1階：
関所資料室
郷土資料室
実物展示ステージ
談話室
インフォメーション
研究室
収蔵庫
事務室
中央ロビー（江戸時代の神通経パノラマを設置）
2階：
大集会場
舞台
和室2室
バルコニー

などがあり、多様な用途に対応できる複合施設として設計されています。

アクセス

西猪谷関所館へは、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。

JR高山本線 猪谷駅より徒歩約2分。
* JR北陸新幹線、高山本線、あいの風とやま鉄道線 富山駅からは、地鉄バスの猪谷行に乗車し、猪谷バス停で下車後、徒歩約2分です。

（なお、本文は提供された情報を基に作成されており、それ以外の詳細な内容や個人的な解釈は含んでおりません。）

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