西神吉町

西神吉町は、兵庫県加古川市の西部に位置する地域です。現在の地域範囲は、西神吉町宮前、西神吉町西村、西神吉町中西、西神吉町大国、西神吉町岸、西神吉町辻、西神吉町鼎といった複数の大字を含んでいます。かつてこの地には、印南郡に属する西神吉村という自治体が存在していました。

歴史

この地域の歴史は、明治22年（1889年）4月1日の町村制施行によって新たな段階を迎えます。当時、印南郡内にあった鼎村、宮前村、西村、辻村、大国村、岸村の計6つの村が合併し、印南郡西神吉村が誕生しました。その後、昭和31年（1956年）9月30日には、周辺の東神吉村や米田町の一部（平津・船頭地域）と共に加古川市へ編入され、自治体としての西神吉村はその歴史を閉じ、加古川市の一部となりました。市への編入後も境界の変更が行われており、特に高砂市阿弥陀町魚橋との間では、昭和33年（1958年）7月5日に同町の一部が加古川市（西神吉町辻）に編入され、さらに昭和56年（1981年）3月1日にも一部の編入・編出が行われています。

人口

西神吉村が発足して間もない頃の人口状況を示すデータとして、明治34年（1901年）末の統計が残されています。これによると、旧村ごとの戸数と人口は以下の通りでした。

• - 宮前村: 84戸、423人
• - 鼎村: 110戸、480人
• - 西村: 50戸、272人
• - 中西村: 60戸、325人
• - 大国村: 128戸、567人
• - 岸村: 62戸、287人
• - 辻村: 88戸、465人

この統計からは、当時の各集落の規模や人口構成の一端をうかがい知ることができます。

経済

かつて西神吉村では、農業が地域経済の基盤として重要な役割を担っていました。記録によれば、熱心に農業経営に取り組む篤農家が多く存在し、神吉長作氏、前田辰太郎氏、原藤作氏、田中貞太郎氏といった名前が特に挙げられています。彼らは地域の農業技術の向上や発展に貢献したと考えられます。

地域内の施設

西神吉町内には、住民の生活や地域活動を支える様々な施設が立地しています。教育施設としては、地域の子どもたちが学ぶ加古川市立西神吉小学校があります。郵便サービスを提供する加古川西神吉岸簡易郵便局も地域住民に利用されています。また、スポーツや集会などの大規模な活動に対応できる施設として、加古川市立総合体育館や加古川運動公園陸上競技場が整備されており、市民の健康増進や交流の場となっています。

寺社

この地域には、長い歴史を持つ寺院や神社が点在し、地域の文化や信仰の中心となっています。主要な寺院としては以下が挙げられます。

• - 南宗寺: 浄土真宗本願寺派。山号は妓楽山。本尊は阿弥陀如来。天文19年（1550年）4月開基。
• - 妙信寺: 顕本法華宗。山号は本覚山。本尊は妙法大曼荼羅。明治16年（1883年）開基。
• - 真福寺: 曹洞宗。山号は青龍山。本尊は薬師如来。寛永3年（1626年）6月開基。
• - 常福寺: 浄土宗西山派。山号は聖徳山。本尊は阿弥陀如来。寛文3年（1663年）開基。
• - 正岸寺: 真宗大谷派。山号は宝国山。本尊は阿弥陀如来。寛政7年（1795年）開基。
• - 正念寺: 浄土真宗本願寺派。山号は高峰山。本尊は阿弥陀如来。永禄5年（1562年）12月開基。

神社としては、かつて村社であった八幡神社があり、祭神として誉田別命が祀られています。

交通

西神吉町は、広域および地域内の交通ネットワークが比較的発達しています。主要な幹線道路としては、加古川バイパスが地域内を横断しており、自動車での移動に便利です。また、兵庫県道387号平荘魚橋線、兵庫県道388号飾東宝殿停車場線、兵庫県道389号志方魚橋線、兵庫県道515号小原宝殿停車場線といった県道が地域内を結び、周辺市町へのアクセス路となっています。公共交通機関としては、神姫バスの路線バスが運行されており、地域住民の移動手段として利用されています。

主な出身者

西神吉町および旧西神吉村からは、様々な分野で活躍した人物が輩出されています。

• - 神吉晴夫: 出版人。光文社の社長やかんき出版の創業者として知られる。
• - 原清兵衛: 法華山からの谷川の水を水田に利用するため、神吉大池の改築に貢献。その功績により、当時の領主から田地を与えられたという。
• - 平岡太吉: 農業や金融業を営んだ人物。弁護士・政治家の平岡萬次郎や内務官僚の平岡定太郎の父にあたり、作家・三島由紀夫の曽祖父としても知られている。

これらの人物の存在は、この地域の歴史に深い足跡を残しています。

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