西部開拓史 (1962年の映画)

『西部開拓史』（How the West Was Won）は、西部開拓時代を舞台に、ある家族の50年にわたる壮大な物語を描いた1962年製作のアメリカ映画です。5つのエピソードで構成され、ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャルの3人が監督を務めました。スペンサー・トレイシーによる重厚なナレーション、豪華スターの共演も見どころで、西部劇の魅力を凝縮した作品として知られています。

あらすじ

第1話：河（1830年代末）

東部の農夫ゼブロン・プレスコットは、家族と共に西部へ移住を決意します。道中、罠猟師ライナス・ローリングスと出会い、娘イヴは彼に恋をします。河賊に襲われたプレスコット家をライナスが救いますが、彼は定住を嫌い、イヴと別れます。しかし、ゼブロン夫妻が急流で命を落とすと、ライナスはイヴの元へ戻り、共に開拓民として生きることを誓います。

第2話：平原（1850年代）

プレスコット家の次女リリーは、酒場の歌手として生計を立てています。ある日、遺産として金鉱を相続した彼女に、ギャンブラーのクリーヴ・ヴァン・ヴェイレンが近づきます。リリーは西へ向かう幌馬車隊に加わり、クリーヴは護衛として同行します。シャイアン族の襲撃を乗り越え、金鉱に到着しますが、そこはすでに掘り尽くされた後でした。クリーヴは去り、リリーは蒸気船の歌手に戻ります。サンフランシスコで再会した二人は、新たな生活を始める決意をします。

第3話：南北戦争（1861年-1865年）

ライナスとイヴの息子ゼブは、父の後を追って北軍に志願します。しかし、戦場の惨状に心を痛め、脱走兵に誘われて逃亡を図ります。グラント将軍を狙撃しようとした脱走兵を、ゼブはとっさに射殺します。終戦後、帰郷したゼブは父の戦死と母の死を知り、農場を弟に任せ、軍人として生きることを決意します。

第4話：鉄道（1868年）

ゼブは大陸横断鉄道の建設現場で、先住民から工事を守る騎兵隊の隊長となります。工事を優先するユニオン・パシフィック社のマイク・キングと対立するゼブは、父の友人である野牛狩りのジェスロ・スチュアートと出会います。キングが先住民の土地を通るルートに変更したため、対立が激化。ゼブはジェスロの協力を得て先住民との和平交渉に奔走します。しかし、キングが鉄道で開拓民を輸送するようになると、先住民は怒り、野牛の大群を放ちます。ゼブは軍を辞め、西へと旅立ちます。

第5話：無法者（1880年代末）

クリーヴとの結婚で財を成したリリーでしたが、浪費がたたり借金を抱えます。クリーヴの死後、リリーはアリゾナの土地に移り住み、その土地を甥のゼブに託します。保安官となったゼブは、かつて自分が射殺した無法者の弟、チャーリー・ギャントと再会。ギャント一味が列車を襲撃すると知ったゼブは、列車に乗り込みます。激しい銃撃戦の末、ギャントらを倒したゼブは、家族と共にリリーの土地へと向かいます。

キャスト

ゼブロン・プレスコット：カール・マルデン
レベッカ・プレスコット：アグネス・ムーアヘッド
イヴ・プレスコット：キャロル・ベイカー
リリー・プレスコット：デビー・レイノルズ
ライナス・ローリングス：ジェームズ・スチュアート
クリーヴ・ヴァン・ヴェイレン：グレゴリー・ペック
ゼブ・ローリングス：ジョージ・ペパード
ナレーター：スペンサー・トレイシー

評価・影響

本作は、Rotten Tomatoesで93%の支持率を獲得するなど、高い評価を得ています。アルフレッド・ニューマンが作曲した音楽も高く評価され、アメリカン・フィルム・インスティテュートが選ぶ映画音楽ベスト100で25位にランクインしています。1997年には、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。

『西部開拓史』は、西部劇の壮大さと家族の絆を描いた作品として、映画史に名を刻んでいます。

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