西野嘉右衛門

西野嘉右衛門（15代）について

15代西野嘉右衛門（1878年1月10日 - 1967年5月16日）は、日本の実業家、政治家として知られています。彼は、藍商・酒造業を営む西野嘉右衛門家の15代目当主であり、貴族院多額納税者議員も務めました。旧名は保太郎といいました。

生い立ちと初期の経歴

西野嘉右衛門は、徳島県勝浦郡小松島浦（現在の小松島市）で、豪商である西野保太郎の次男として生まれました。西野家は、万治元年に創業した阿波藍商人（屋号は野上屋）として知られ、現在は酒造業の西野金陵として名を馳せています。1900年には、専修学校（現在の専修大学）理財課を卒業し、その後、一年志願兵として陸軍に入隊、日露戦争にも従軍しました。

1905年、兄である14代嘉右衛門の死去に伴い、家督を継承し、15代嘉右衛門を襲名しました。

実業家としての活動

15代嘉右衛門は、家業の藍商が外国産の安価な藍の輸入により影響を受けたため、化学染料製造を開始しました。さらに、家業の酒造業（銘酒「金陵」）、金物商、塩田事業、煙草元売捌など、事業の多角化を図りました。また、金陵西野商店会長、阿波国共同汽船会長、阿波商業銀行頭取、日本製飴社長、阿波藍同業組合評議員など、数々の要職を歴任しました。

政治家としての活動

1938年には、貴族院多額納税者議員補欠選挙で当選し、貴族院議員として政治の世界にも足を踏み入れました。研究会に所属し、1940年まで2期在任しました。

文化面での貢献

文化面では、喜田貞吉などを講師に招いて小松島講演会を開催し、『阿波藍沿革史』などの書籍を刊行しました。1940年には徳島県教育会長にも就任し、地域の文化発展に貢献しました。

著作

• - 『阿波藍沿革史』（西野嘉右衛門、1940年）

親族

• - 妻: マサエ（従姉妹、西野謙四郎の娘）
• - 長男: 保太郎
• - 二男: 寛次郎（1914年生） - 16代西野嘉右衛門。京都帝国大学法学部卒業後、家業を継ぐ
• - 長男: 武明 - 慶應義塾大学法学部卒業後、家業を継ぐ。岳父に太陽酸素社長・川口源兵衛
• - 長女: 美智 - 聖心女子大学卒業。長野銀行頭取・田中誠二の妻
• - 二男: 信也 - 聖心女子大学卒業。慶應義塾大学商学部卒業後、家業を継ぐ。岳父に泉酒造社長・泉仙介（寛一）
• - 二女: 美和 - ミツカン代表・中埜和英の妻

参考文献

• - 菊地浩之『47都道府県別 日本の地方財閥』平凡社〈平凡社新書〉、2014年。
• - 『徳島県人名事典 別冊』徳島新聞社、1994年。
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『徳島県百科事典』徳島新聞社、1981年。
• - 人事興信所編『人事興信録』第14版 下、1943年。
• - 『阿波人物鑑 : 御大典記念』徳島日々新報社、1928年。

15代西野嘉右衛門は、激動の時代の中で、家業の発展と地域社会への貢献に尽力した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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