西野橋 (上尾市)

西野橋の概要

西野橋（にしやばし）は、埼玉県上尾市大字平方に位置し、荒川の本流に架かる冠水橋です。この橋は、上尾市道10156号に含まれ、冠水橋としては荒川本流上で最も下流側にあります。橋の名前は、近隣の大字平方に由来し、地元住民には馴染み深い存在です。

この橋の全長は57.1メートル、有効幅員は2.3メートルで、高水敷に架けられた4径間の鋼鈑桁橋です。橋脚には鋼管が使用されており、上流にある樋詰橋や高尾橋と似た構造を持っています。また、路面はアスファルトで舗装され、通行する際には幅員制限が設けられており、標識により1.8メートルの制限があります。重量制限は2.0トンと定められ、道幅が狭いため片側交互通行での利用が必要となります。

橋には簡易な欄干が設置されていますが、これは増水に備えて取り外し可能です。この西野橋が通る上尾市道10156号は、上尾市と川島町を結ぶ唯一の市道として機能しています。橋からおおよそ800メートル下流には開平橋も架かっており、1977年までは西野橋と同様の冠水橋として利用されていました。

この橋の特異な点は、ゴルフ場のクラブハウスとゴルフコースを結ぶ主要な橋としての役割も果たしていることです。通行制限を守れば、ゴルフ場の利用者以外でも橋を利用することができます。しかし、冠水橋であるため、荒川の水位が高くなると橋は水没する可能性があり、その際には通行止めになります。

西野橋の管理は上尾市が行っており、近くに位置するリバーサイドフェニックスゴルフクラブが委託を受けて欄干の管理などを行っています。ただし、洪水による塗装の剥離や錆の発生が進行しており、橋の維持管理が大きな課題となっています。この橋は上尾市道においては、上尾駅に架かる宏栄橋に次いで長く、水域に架かる橋としては特に長い部類に入ります。

歴史的背景

西野橋の地域は昔、荒川が大きく蛇行して流れており、入間川が合流していました。その流路は現在の上尾市境界とほぼ一致しており、1910年に大水害が起こったことをきっかけに、昭和初期には南北に向かう捷水路が開削され、平方の一部が右岸側に取り残されました。このエリアは地元で新川とも呼ばれ、橋は右岸側の市域を結ぶために架けられています。

現在の西野橋は1967年に架設され、もともとは木製の橋でしたが、1983年に流失した後、1984年に復旧工事が始まりました。この際、橋台は再利用されました。その後、10年の時を経て劣化が目立つようになり、国土交通省からの指導を受けて1995年度には塗装が行われました。

周辺環境

西野橋周辺の河川敷は広く、ゴルフ場や農地などが利用されています。また、毎年夏にはあげお花火大会が開催され、多くの人々が訪れます。橋のすぐ上流側は川島町に位置し、川越市にも近接しています。橋を渡る市道は川島町に続いていますが、その道路は状態が良くないため、主要な交通路としては適していません。

近隣を流れる入間川には、異なる構造の出丸橋が架かっていますが、こちらも西野橋とは異なり、コンクリート製の桁受けを持っています。西野橋は地域の交通の要所として重要な役割を担っており、今後の維持管理が期待されています。

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