西鉄700形電車

西鉄700形電車について

西鉄700形電車は、主に西日本鉄道（西鉄）の天神大牟田線および太宰府線で運用されていた通勤形電車です。この車両は、1972年11月に大牟田線用として登場し、2代目600形の最終製造車である631-681編成と同時に製造されました。3扉の通勤車両として、当時の通勤需要に応えるために設計されました。700形は、後に新たに導入される5000形に反映される4両固定編成の試作車的な意味合いがあり、実際には1本のみの製造にとどまり、その希少性も特徴の一つです。

車両の構造

車体と車内設備

700形の外観は基本的に600形と似ているものの、設計には違いがあります。600形は全車に運転台が備わっていますが、700形には中間車が2両設けられ、運転台がない設計になっています。この中間車は600形を基に新しく設計されました。車両の塗装は、製造当初はクリーム色とあずき色のツートンカラーでしたが、後にアイスグリーンを基調としたデザインに変更され、ボンレッドの帯が加わりました。前照灯は600形の後期型と同じく、前面貫通扉上に2灯設置されており、1977年には形状や設置位置が改良され、自動方向幕も取り入れられました。

車内の座席はロングシートが採用されており、冷房装置は当初は未装備でしたが、製造からわずか1ヶ月後の1972年12月には冷房が設置され、大牟田線で初の冷房車両となりました。定員は先頭車が140人、中間車が150人です。また、600形後期車両同様、先頭車は前面下部にスカートを装着していました。

台車と機器

台車には、631編成と同じKW-7（電動車）およびKW-8（付随車）が使用されていますが、この台車の採用は700形と631編成に限られました。制御方式は600形と共通で抵抗制御が採用されていますが、600形が1つの制御装置で4台の主電動機を制御する1C4M方式であったのに対し、700形は1つの制御装置で8台の主電動機を制御する1C8M方式を採用しています。この方式は、その後登場する2000形や5000形にも利用されました。また、集電装置は西鉄車両で初の下枠交差式パンタグラフを採用していました。

形式と編成

700形の編成は、大牟田方からク701、モ702、モ703、ク704の4両構成となっており、制御車はク700形式、そして中間電動車はモ700形式です。具体的には、

• - ク701：制御車、空気圧縮機を装備。大牟田方先頭車。
• - モ702：中間電動車、パンタグラフと主制御器を搭載。
• - モ703：中間電動車、電動発電機を設置。
• - ク704：制御車、福岡（天神）/太宰府方先頭車。

運用状況

西鉄700形は600形と共通で運用されることが多く、700形単独での運用もありましたが、600形と併結して6両や7両編成を組むこともありました。通常の普通列車はもちろん、時には特急や急行列車にも使用されていました。しかし、5000形の増備が進むにつれて定期運用が減少し、最終的には予備運用に回されることがほとんどになりました。他形式の車両が検査や故障で運用から外れた際にとりあえず運行されるだけとなり、運用が限られるようになりました。

このように、西鉄700形電車は通勤需要に応じ、多様な運用が期待されたにもかかわらず、限られた製造数のためにその役割は短命に終わった貴重な車両となりました。

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