西願寺 (静岡県長泉町)

西願寺の魅力と歴史

静岡県駿東郡長泉町に位置する西願寺（さいがんじ）は、黄檗宗に属する寺院です。山号は長窪山（ながくぼさん）で、この地で長い歴史を有しています。

寺院の沿革

西願寺の開山は鉄牛道機禅師であり、彼は治山治水という分野にも顕著な功績を残しています。その弟子である鉄眼道光禅師は、「一切経」の木版を作成した人物としても知られています。

西願寺は1686年（貞享3年）12月に設立されました。創設者は香州禅師で、愛鷹山の麓に位置する長久保城跡近くの場所にこの寺を築いたと言われています。およそ百年以上にわたり、7代の住職がこの寺の伝統を引き継いでいきましたが、1837年（天保8年）から1839年（天保10年）にかけて無住の期間が続きました。

1849年（嘉永2年）9月、萬福寺から特命を受けた有隣弘徳禅師が8代目として晋山し、寺の中興を果たしました。その後、庫裏や本堂、鎮守八幡社が再建され、寺の発展が再開しました。

第二次世界大戦後には大きな変化が見られ、農地解放によって寺院周辺の土地が変貌を遂げ、国道246号線が境内を通過するようになりました。このような背景の中、1977年（昭和52年）には現在の木造二層屋根の本堂が完成し、1989年（平成元年）には普茶料理の提供が始まりました。

2016年（平成28年）には位牌堂が新たに建てられ、境内の文化的な価値がさらに高まりました。境内には長泉町指定の有形文化財である八幡神像が存在しており、これは長久保城の守護像とされています。この神像は西願寺創設時にまつられたもので、風格を感じさせる存在感があります。

文化財と自然

また、境内には黄檗宗特有の開梆（かいばん）や卍の欄干などがあり、これは西願寺の歴史的な特色を示しています。さらに、町内で発見された富士山の溶岩から作られた萬霊塔や、大きなイチョウの木、広がる孟宗竹の竹やぶなど、多彩な自然環境も魅力です。特に樹齢不詳のイチョウは、その巨大さから訪れる人々を圧倒します。

歴代住職

この寺を支えてきた歴代住職は次の通りです：

• - 開山：鉄牛道機禅師（大慈普照禅師）
• - 開基：香州硬
• - 雪光堂
• - 翠岩元抽
• - 斯鈍浄希
• - 祝峯衍松
• - 玄宗如要
• - 中興：有隣弘徳
• - 石床仁雲
• - 省吾廣拙
• - 承範智演
• - 章道明英
• - 伽藍

行事とアクセス

西願寺では、普茶料理という精進料理も人気です。これは隠元禅師が日本に伝えた料理で、葛や植物油を多く使用し、味わい深い料理が特徴です。春と秋の一か月間にわたって開催され、多くの人々が訪れます。

アクセスは非常に便利で、東名高速道路の沼津ICからはわずか10分、新東名高速道路の長泉沼津ICからは5分、伊豆縦貫道長泉ICからも5分です。さらに、東海道新幹線の三島駅からは車で10分、御殿場線の長泉なめり駅からは車で5分といった位置にあります。また、長泉・清水循環バスの下長窪バス停からも徒歩5分と、公共交通機関でもアクセスが可能です。

歴史豊かな西願寺は、自然の美しさと共に多くの文化財を持ち合わせ、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。

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