見えない影

見えない影

『見えない影』は、1979年9月10日から11月12日までテレビ朝日系列の「月曜劇場」枠で放送されたテレビドラマです。全9話構成で、愛と憎しみ、横領、絶望、崩壊といったテーマが織りなす、ロマンとサスペンスに満ちた物語が展開されます。

概要

脚本家・田向正健によるオリジナル作品で、ヒロイン織原有子のキャラクターが物語の中心です。彼女は、優しさと恐ろしさという二つの顔を持ち合わせており、そのコントラストがドラマの大きな魅力となっています。プロデューサーの杉崎充男は、本作を「一種の心理劇」と表現しています。平凡な家庭が、裕福でありながら破滅へと向かう過程を、有子を軸に描き出しています。

また、本作は「愛のバイオレンス・シリーズ」という副題が付けられています。これは、人間の愛憎が引き起こす激しい感情のぶつかり合いを描いていることを示唆しています。なお、月曜劇場で次に放送された『砂の影』にも同じ副題が用いられており、本作は『砂の影』に続く「恐怖シリーズ」の第一弾と位置づけられています。

あらすじ

織原有子は、夫と子供、そして姑と暮らす平凡な主婦でした。しかし、夫・信一が交通事故で亡くなったことをきっかけに、彼女の人生は大きく変わります。信一の死は、やり手不動産会社常務の橋本陽一郎が同乗する車によるものでした。陽一郎は事故を「信一が飛び込んできた」と主張し、葬儀にも参列しませんでした。有子は、夫の死の真相を究明し、陽一郎への復讐を誓います。

有子は陽一郎が通うクラブ「輝」で働き始め、復讐の機会をうかがいます。しかし、彼女の行動は周囲からは理解されず、理解を示すのは義弟の健児だけでした。健児は有子の相談相手となりますが、次第に彼女の魅力に惹かれていきます。一方、陽一郎もまた有子に興味を持つようになり、物語は複雑な愛憎劇へと発展していきます。

陽一郎の妻・妙子は、夫の起こした事故によって人生設計が狂い始め、裏で人を陥れる計画を立てるようになります。そして、夫婦関係は破綻へと向かいます。また、事故の加害者である運転手の上総は、会社から責任を問われ左遷。事故とその顛末を恨むようになります。

有子の復讐は、関係者たちの人生を狂わせ、家庭を崩壊へと導いていきます。愛と憎しみ、欲望と絶望が入り混じる中で、有子はどのような結末を迎えるのでしょうか。

キャスト

織原 有子：浅丘ルリ子
橋本 陽一郎：緒形拳
織原 健児：清水健太郎
織原 信一：長谷川哲夫
織原 守家：木暮実千代
橋本 妙子：三ツ矢歌子
上総 洋平：古今亭圓菊
織原 葉子：七田麻由子
橋本 陽介：長谷川諭
橋本 美子：富樫久恵
クラブ『輝』のママ：柳川慶子
三木 淳一：勝部演之
佐久間：河原崎建三
高井京子：井上雅美
九鬼弁護士：渥美国泰
片山：左右田一平
水川相談員：堀勝之祐

スタッフ

原案・脚本：田向正健
プロデューサー：杉崎充男
音楽：間宮芳生
* 演出：大村哲夫

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