視床下核

視床下核（ししょうかかく）について

視床下核は、大脳基底核を構成する神経核の一つであり、運動制御に関与しています。この核は、19世紀のフランスの神経学者ジュール・ベルナール・ルイによって初めて記載され、ルイ体とも呼ばれています。その名称は、ルイが視床下核の解剖学的特徴を明らかにしたことに由来しています。

この構造は、通常の意味での視床、特に背側視床には含まれませんが、胃から見ると腹側視床の一部を形成しています。視床下核は、大脳基底核の間接路の一部であり、主に淡蒼球外節からのGABA作動性入力を受け取ります。また、脳の新皮質から直接的にグルタミン酸作動性入力を受けることも要注目です。このように、視床下核は複数の神経経路から情報を受け取り、処理する重要な役割を担っています。

この核に存在するニューロンは、グルタミン酸作動性であり、黒質網様部や淡蒼球内節のGABA作動性ニューロンに興奮性出力を行います。これにより、運動の調整に寄与します。また、淡蒼球外節にも投射が存在し、運動制御に幅広く関与していることが示されています。

近年では、視床下核が脳深部刺激療法（DBS）において注目されています。これは、パーキンソン病の治療法として利用され、この部位を電気的に刺激することで症状が改善されることが報告されています。しかし、なぜ視床下核への電気刺激が症状の軽減につながるのか、そのメカニズムは依然として多くの謎に包まれています。これに関する研究は進行中で、さらなる理解が求められています。

また、視床下核は不随意運動と関連することもあります。特に、バリスムと呼ばれる症状は、視床下核の異常に起因することが多く、片側性のもの（ヘミバリスム）では、通常反対側の視床下核が関与していると考えられています。このように、視床下核は運動機能の調整だけでなく、さまざまな運動障害にも影響を与える重要な神経核であると言えるでしょう。

視床下核は、神経科学や運動障害の研究において非常に重要な役割を果たしています。今後の研究によって、その機能や関連する疾患の治療法が明らかにされることが期待されています。

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