親展

親展（しんてん）とは

親展とは、郵便物において、宛名に記載された本人のみが開封して読むことを想定した取り扱いのことです。英語では "confidential letter" や "private" と表現されます。この「親」という字は、自分自身を意味し、宛名本人以外が開けることを想定していないことを示します。

親展の概要

通常の郵便物は、宛名本人の承諾があれば、本人以外が開けることも可能です。企業によっては、社員宛の郵便物を事務職員が内容を確認してから本人に渡すこともあります。しかし、親展扱いの郵便物は、宛名本人以外は開封することができません。そのため、事務職員などは開封せずに本人に渡す必要があります。

親展として扱われる手紙には、個人のプライバシーに関わる書類（請求書、督促状、診断書など）や、人事査定や評価の資料となる調査書などが挙げられます。これらの手紙は、通常、中身が透けて見えない封筒を使用し、封筒の表面に「親展」と明記されます。

親展の利用例

親展の封筒には、開封されたかどうかを判別するための工夫が凝らされている場合があります。例えば、封印として「緘（かん）」などの印が押されたり、剥がすと跡が残るシールが使用されたり、圧着ハガキで中身が見えないように加工されたりすることがあります。

これらの工夫は、開封の事実が重要となる書類に用いられます。例えば、入学試験の調査書や犯罪経歴証明書など、宛名本人以外が開けると無効になる書類や、開封によって効力が発生する書類などが該当します。

ヨーロッパなどでは、「緘」の代わりに蝋（シーリングワックス）を溶かして封筒に垂らし、紋章の型（シーリングスタンプ）を押す封蝋（ふうろう）が用いられることもあります。また、金箔や銀箔のシールに紋章を押す方法もあります。ただし、封蝋は郵便区分機を通すと割れてしまうことが多いため、定形郵便物には不向きであり、使者による手渡しの場合にのみ使用されます。

参考法令

• - 『郵便法』（昭和22年12月12日法律第165号）
• - 『郵便規則』（昭和22年12月29日逓信省令第34号）
• - 『国際電子郵便の取扱いに関する省令』（昭和59年11月21日郵政省令第44号）

関連項目

• - 書留郵便 （本人限定受取 - 宛名本人のみに手交する郵便サービス）
• - 秘密を侵す罪（信書開封罪）
• - 親書
• - 親政

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