観音寺 (四日市市垂坂町)

観音寺（かんのんじ）

観音寺は三重県四日市市の垂坂町に所在する天台宗の寺院で、山号は垂坂山（たるさかさん）です。寺の本尊は元三大師で、信仰の対象として広く知られています。

歴史

観音寺の歴史は弘仁6年、すなわち西暦815年に遡ります。この年、最澄が聖徳太子自作の薬師如来像を安置し、寺院の基礎が築かれました。さらに、延長6年（928年）には、延暦寺の中興の祖である良源が大乗受戒の際に、伊勢国の領主、船木良見の支援を受けて、垂坂の地に伽藍を建立しました。当時の寺は広大なもので、現在の観音寺の範囲が奥の院に相当し、南北東西に約2kmの広がりを持っていたそうです。この境内には54の坊や院が存在し、伊勢地区の天台宗の中心として栄えましたが、1575年に織田信長の軍に攻められ、焼失してしまいます。

元禄4年（1691年）、桑名藩主の松平定重が郡代の野村増右衛門に命じ、観音寺は再興されます。現在の本堂は昭和に建てられましたが、山門や鐘楼は昔の姿をそのまま保っています。観音寺は明治6年（1873年）に一度廃寺となりますが、明治16年（1883年）に復興され、現在に至ります。また、東側には五島製糸場跡が存在し、歴史の一部を感じさせます。

文化財

観音寺は、重要文化財に指定された木造慈恵大師坐像（1913年指定）や、三重県指定有形文化財の木造誕生釈迦仏立像（1955年指定）、木造地蔵菩薩坐像（1956年指定）、木造薬師如来立像（1965年指定）、そして絹本著色仏涅槃図（1957年指定）を所蔵しています。さらに、四日市市指定の有形文化財として観音寺山門（1977年指定）や四日市蕉風連中奉納歌仙額（2001年指定）があり、多彩な文化財がこの寺を彩っています。

年中行事

観音寺では、様々な年中行事が行われており、地域の信者たちが集まって共に信仰を深める機会となっています。

アクセス

観音寺へのアクセスは非常に便利です。東名阪自動車道の四日市東インターチェンジから南へ約2kmほどの距離にあり、近鉄名古屋線の霞ヶ浦駅からは北西に約3kmの場所に位置しています。訪れる際には、交通の便を考えつつ、ぜひ実際の境内を歩いてその歴史や文化に触れてみてください。

参考文献

• - 大矢知歴史研究会『歴史のまち　ふるさと大矢知』2008年
• - 冨永航来『東海四十九薬師巡礼』朱鷺書房、2000年
• - 四日市市編『四日市市史　第四巻　史料編文化財』1989年
• - 四日市市編『四日市市史　第五巻　史料編民俗』1995年

観音寺は、歴史的価値のある寺院として、地域の人々に親しまれており、訪れる価値のある場所です。

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