観音寺 (気仙沼市)

観音寺（かんのんじ）

観音寺は、宮城県気仙沼市に位置する天台宗の寺院で、山号は海岸山です。この寺院の本尊は聖観音であり、東北地方の三十六不動尊の第25番札所として知られています。

歴史

観音寺の起源は、和銅年間（708年～714年）に遡ります。当時、藤原宇合が蝦夷征討の折に神様として首を祀ったことが始まりとされています。その後、この地を訪れた行基が観音像を彫り、本尊を定めたことが寺院の発展に寄与しました。850年（嘉祥3年）には慈覚大師の円仁がこの地の堂宇を整備し、観音寺と名づけられました。この寺院は比叡山延暦寺の末寺であり、不滅の法灯を受け継ぐ七つの寺院の一つとして特別な存在です。また、東北地方では観音寺を含む三つの寺のみがこの法灯を有しています。

観音堂

観音寺の境内にある観音堂は1723年（享保8年）に建設されました。この建物は、仙台藩主5代目、伊達吉村の巡視に寄付された資金をもとに作られたとされています。観音堂内部に設置されている厨子は特に目を引きます。高さ228センチ、横幅226センチ、縦の最長部分は150センチで、ケヤキの木から作られています。厨子の形状は平面凸字形で、前仏部分が突出しており、その奥には密仏、左右には脇仏が配置されています。前仏部分は入母屋造で、杮葺きの屋根に軒唐破風が装飾されています。また、黒漆を基調に朱色や金色が施された美しい造りとなっています。この観音堂は1969年8月29日、県の文化財に指定されています。

指定文化財

観音寺では厨子以外にも、数多くの文化財が宮城県や気仙沼市から指定されています。具体的には、以下のようなものがあります。- 木造阿弥陀如来坐像（彫刻） - 1956年（昭和31年）3月12日指定

• - 意馬心猿の図（絵画） - 1979年（昭和54年）1月23日指定
• - 金銅装笈（工芸品） - 2009年（平成21年）4月28日指定

歌碑、句碑

境内には、白鳥省吾、土井晩翠、辻潤、前田夕暮、落合直文など多くの著名な詩人や歌人が残した歌碑や句碑が点在しており、訪れる人々に歴史の息吹を感じさせます。

アクセス

観音寺へのアクセスは、BRT気仙沼線の不動の沢駅から徒歩約8分の距離にあります。公共交通機関を利用して簡単に訪れることができ、歴史あるこの寺院を探索するのに便利です。

観音寺は、その豊かな歴史と文化財、そして美しい建築物を通じて訪問者に深い感動をもたらす場所です。

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