角筈聖書研究会

角筈聖書研究会の歴史と意義

角筈聖書研究会（つのはずせいしょけんきゅうかい）は、無教会派の影響を受けた内村鑑三の弟子たちによって形成された、日本における最初の聖書研究会です。1901年に内村が自宅で初めて聖書講義を行ったことに起源を持ち、当時は家族を中心に約20名が集まる形でスタートしました。

翌1902年には三回目の夏期講談会が成功し、これを受けて内村の東京・角筈の自宅で正式に研究会が設立されました。有志メンバーは内村を講師として迎え、彼の教えを深める場となりました。さらに、同年から内村が行っていた聖書講義は、希望者25名に限って参加が許可されるようになりましたが、短期間で劇的な展開が待ち受けていました。

1904年9月、突然の解散が決まります。この背景には、内村が無教会主義を唱えていたにもかかわらず、教会の存在を感じさせるような存在を作ることに対する嫌悪感がありました。伝統的な教会形態を嫌悪する内村の姿勢は、教えを広める同時に、組織としての形態に悩ませられた証でもありました。

しかし、内村にとっての活動はそこで終わったわけではありません。翌年、彼は非戦論を巡るトラブルから退社し、『聖書之研究』の刊行を続ける一方で、一度は閉じた研究会を再開しました。1905年には著名な社会主義者である福田英子の参加を拒んだ「福田英子破門事件」が起こり、これにより研究会の活動はさらに注目を集めました。

その後、内村は柏木に移り住むことになり、研究会は柏木聖書研究会と名称が変更されました。1918年には再臨運動を推進し、基督教青年会館（YMCA）での講演会を開催。多くの聴衆を惹きつける講演を展開し、1919年には会場を大日本私立衛生会館に移しました。

しかし、1921年には中央聖書講演会（東京聖書研究会）へと成長していきます。これらの動きは内村の影響力を物語っており、講演の内容や形式は多くの人々に感銘を与え続けました。

しかし、1923年に発生した関東大震災により、大日本私立衛生会館は倒壊。これにより、会場は再び柏木の内村邸内の今井館へと移動し、研究会の活動はしばらくの間続きます。このように、角筈聖書研究会は内村鑑三とその弟子たちの教え、及びその後の発展を示す象徴的な場であったのです。

参考文献

• - 関根正雄『内村鑑三』清水書院、1967年
• - 鈴木範久『内村鑑三』岩波新書、1983年
• - 内村美代子『晩年の父内村鑑三』教文館、1983年

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