許斐氏

許斐氏（このみし）

許斐氏は、日本の氏族の一つです。その読み方は現代漢字の解釈では音読外来語のようにも捉えられますが、姓の由来には複数の説があります。

概要

許斐氏の祖は、第59代宇多天皇の皇子である清氏親王を初代とする宗像大宮司・清氏の次男・氏章、または第15代氏平、あるいは第24代氏俊の甥・氏元であると言われています。その氏の由来は、鎮国寺（福岡県宗像市）に安置されている「許斐権現」（福岡県指定文化財）の彫像に求められると考えられています。また、宗像市大穂にある宗生寺（曹洞宗）は、中世における許斐家の菩提寺であり、許斐城主一族と小早川隆景の墓所（遺髪塚）があります。

神社本庁や宗像大社に納められている社の「許斐」の氏性の由来については、宗像本家に「許し斐（かざ）る」と説かれています。これは、常に本家と行動を共にすることを希望した意志の表れではないかと考えられています。

その意を継いだのか、許斐氏は戦国時代まで宗像家の第一の庶流、重臣として活躍しました。宗像家の後継が絶えた際には、宗像家へ養子を送り込み大宮司を継承させ、宗像家を存続させるという重要な役割を担っていました。

歴史

古くは平氏政権全盛の頃、主家である宗像家も平家武士団に組し、許斐家も平重盛に仕え水軍を司りました。

1551年、宗像氏の主家であった周防国の守護大名・大内義隆が、家臣の陶晴賢によって討ち取られると、宗像家はそのまま陶晴賢の勢力下に入りました。しかし、家中では主君であった大内家が下克上によって陶家に変わったことに不満を抱く者もおり、次第に一門同士での争いに発展していきました。当時、許斐本家の当主であった氏任もその急先鋒として宗像本家に離反し陰謀を企てましたが、本家に事前に知られることとなり、戦死しました。

天正14年（1586年）、陶晴賢の後見で当主となった宗像氏貞が病のために亡くなると、後継者のいなかった宗像家では、その年に豊臣秀吉が九州へ進攻してくると、九州平定策として秀吉から宗像家当主の宗像才鶴（当時およそ5万石）に一時所領の安堵を言い渡されましたが、その後改易され所領は没収されました。

有史以来続いた宗像（許斐）家の歴史はここに潰えることとなりました。

その後、他の許斐一族を含む宗像一門は離散し、氏任の子である氏備は戦国大名の秋月氏を頼り、同じ大内氏を主家としていた縁で筑後国上妻郡領主（現・福岡県八女市）の筑紫広門に匿われました。肥前許斐家からは筑紫家の家臣団に入る者や、福岡藩黒田家に仕官する者もいました。

脚注

参考文献

太田亮「国立国会図書館デジタルコレクション 許斐　コノミ」『姓氏家系大辞典』 第2、上田萬年、三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1934年、2353頁。全国書誌番号:47004572。
『許斐家家譜』

参考資料

宗像大社　許斐山城物語、許斐家由来資料ほか
宗像氏　文献資料
筑紫氏　文献資料
『平家物語』

関連項目

許斐氏利
許斐剛

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