訶梨跋摩

訶梨跋摩（かりばつま）について

訶梨跋摩、またの名をハリヴァルマンは、4世紀ごろに活躍したインドの仏教僧です。彼は中インド出身で、元々は婆羅門の家庭に生まれ、ヒンドゥー教の数論派であるサーンキヤ学派に所属していました。しかし、後に仏教に転向し、特に説一切有部と呼ばれる仏教の流派において学びを深めました。

彼の学問の基盤は、著名な師匠である鳩摩羅馱（Kumāralabdha）から受けた『発智論』の学びにあります。これをきっかけに訶梨跋摩は仏教の教義にのめり込み、その後は大乗仏教の研究にも手を広げていきました。彼の論理的な思考と豊富な知識は、多くの弟子たちや後の仏教徒に影響を与えることとなります。

彼の代表作である『成実論』は、当時の仏教における重要なテキストとして広く知られています。この著作は202品から成り立っており、彼の持つ独自の見解が色濃く反映されています。特に、『成実論』は鳩摩羅什によって412年に漢訳され、その際に多くの人々に知識と仏教思想を広める役割を果たしました。

訶梨跋摩はその後、インド北部のグプタ朝で国師の地位を与えられることになります。彼の教えと論理は、外道のさまざまな学者たちに対する優れた反論として広まり、仏教と他宗教との対話において重要な役割を果たしました。訶梨跋摩は、仏教界において非常に信頼され、尊敬される学者として名を馳せました。

彼の哲学的な探求心と論理的な思考は、現代の仏教徒にとっても学びの源となっており、今なおその思想が研究されています。

註入

訶梨跋摩に関する記録は、主に『出三藏記集』の「訶梨跋摩伝」に見られます。これは大正新脩大蔵経の中でも特に注目される部分であり、彼の生涯や業績を知るための貴重な資料となっています。彼の業績は、インドのみならず、アジア全域の仏教思想に広く影響を及ぼし、仏教信仰の発展に寄与してきました。

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