謝一夔

謝一夔（しゃ いっき、1425年 - 1487年）は、明代中期に活躍した官僚であり、字を大韶と称しました。江西省南昌府新建県を本貫とする彼は、王得仁の子としてこの世に生を受けました。

1460年（天順4年）、謝一夔は科挙において見事首席で進士に及第し、状元という栄誉ある称号を得ました。この卓越した学識が認められ、翰林院修撰に任じられると、彼は『英宗実録』の編纂という重要な事業に携わることになりました。その後も順調にキャリアを重ね、左春坊左諭徳という役職にまで昇進しました。

1471年（成化7年）、天に彗星が現れた際、成化帝は群臣に政治に対する諫言を求めました。これに対し、謝一夔は五事にわたる直言を奏上しました。その内容は、後宮の秩序を正し、大臣を尊重し、言論の自由を保障し、刑事裁判を慎重に行い、無駄な出費を戒めるべきというものでした。しかし、その言葉があまりに率直で真摯すぎたため、成化帝の怒りを買い、叱責を受けることとなりました。しかし、彼の忠誠心は皇帝にも伝わり、その後も要職を歴任することになります。

1477年（成化13年）には学士に任じられ、その博識と才能を存分に発揮しました。1480年（成化16年）には、礼部右侍郎に転じ、行政官としての手腕も高く評価されました。そして1486年（成化22年）10月、遂には工部尚書という要職にまで昇進し、国家の重要な政策決定に関与しました。

しかし、その翌年の1487年（成化23年）5月19日、謝一夔は63歳でこの世を去りました。彼の死後、その功績を称え、太子少保の位が追贈されました。さらに、正徳年間には文荘という諡号が贈られ、彼の学識と人柄が後世にまで称えられました。

著書として『古源文集』6巻が残されており、彼の文才と学問に対する情熱を今に伝えています。

参考文献
『明史』巻165 列伝第53
工部尚書謝公墓志銘（徐紘『明名臣琬琰録』巻14所収）

もう一度検索