謝鐸

謝鐸（しゃ たく）は、明代中期に活躍した学者であり、官僚でもありました。字は鳴治（めいじ）、号は方石（ほうせき）と称しました。台州府太平県（現在の浙江省温嶺市）の出身で、1435年に生まれ、1510年に76歳で亡くなっています。

生涯

謝鐸は、謝世衍（しゃ せいえん）と高氏の間に生まれました。1464年、科挙の最高位である進士に合格し、翰林院庶吉士（しょきつじ）に任じられました。翌年には翰林院編修（へんしゅう）へと進み、1467年には『英宗実録（えいそうじつろく）』の編纂に参加するなど、早くからその才能を発揮しました。

謝鐸は、孤高の性格で知られ、学問に励み、古代の学問を深く敬慕していました。特に経学の実用性を重視し、その研究に力を注ぎました。1473年には、『通鑑綱目（つがんこうもく）』の校勘を担当し、1475年には翰林院侍講（じこう）に進み、経書の講義を行いました。しかし、1478年に両親を相次いで亡くすと、官を辞して喪に服しました。喪が明けても、親を養えなかったことを理由に官職への復帰を拒否しました。

1488年、侍講の身分のまま『憲宗実録（けんそうじつろく）』の編纂事業に召集され、1490年には南京国子祭酒（なんきんこくしさいしゅ）に抜擢されました。1491年には師儒の選任など六事を上奏しましたが、病のため辞職しました。1499年には礼部右侍郎（れいぶうじろう）に抜擢され、再び国子祭酒の事務を管掌しましたが、度々辞職を願い出ました。1503年には『歴代通鑑纂要（れきだい つがんさんよう）』の編纂に参加し、1508年に正式に官を辞しました。

1510年、謝鐸は76歳でその生涯を閉じました。その功績を称え、礼部尚書（れいぶしょうしょ）の位が追贈され、文粛（ぶんしゅく）という諡号が贈られました。

業績と著書

謝鐸は、その生涯を通じて多くの著書を著しました。その内容は、歴史、地理、詩文、政治など多岐にわたり、彼の学識の深さと多才さを示しています。

主な著書には以下のようなものがあります。

『国子監続志（こくしかんぞくし）』11巻
『祭礼儀注（さいれいぎちゅう）』2巻
『名臣事略（めいしんじりゃく）』20巻
『尊郷録（そんきょうろく）』10巻
『赤城新志（せきじょうしんし）』23巻
『伊洛淵源続録（いらくえんげんぞくろく）』6巻
『奏議（そうぎ）』4巻
『赤城論諫録（せきじょうろんかんろく）』10巻
『桃渓浄稿（とうけいじょうこう）』45巻
『桃渓詩稿（とうけいしこう）』36巻
* 『偲山集（しさんしゅう）』7巻

これらの著作は、当時の社会や文化を理解する上で貴重な資料となっています。

謝鐸は、学問への情熱と実直な人柄で多くの人々から尊敬されました。その生涯は、明代の知識人官僚の模範として語り継がれています。

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