警視庁航空隊

警視庁航空隊

警視庁航空隊は、警視庁警備部に所属し、航空機を運用して警察活動を行う専門部隊です。2018年11月現在、大小14機のヘリコプターを運用しており、日本の警察航空隊の中で最大の規模を誇ります。

来歴

1950年代後半、事件や事故の広域化・迅速化に対応するため、警察の機動力強化が急務となりました。特に、交通関連、災害発生時の警戒・救護、その他の警備において、広域性と機動性を兼ね備えた立体的な警察活動の必要性が高まりました。

こうした背景から、警視庁は、カナダやアメリカなどの警察航空業務を調査し、運輸省航空局や民間航空会社、ヘリコプター製造会社などへの調査研究を進めるとともに、警察庁や東京都、東京都議会などの関係各所にヘリコプターの導入を働きかけました。

1959年7月、都議会でヘリコプターの導入が承認され、警視庁は全国の警察に先駆けてヘリコプターを導入することになりました。導入されたのは川崎-ベル47G-2型機で、同年10月15日に納入され、翌16日に命名式が行われました。都民からの公募により、愛称は「はるかぜ」に決定しました。

1960年10月には、警察庁から同型機が配備され、「はるかぜ二号」と命名されました。既存の機体は「はるかぜ一号」に改称されました。これにより、警視庁管内だけでなく、関東および東北管区警察局内の各県公安委員会からの出動要請にも応じることとなりました。1963年には、川崎-ベル47G3B-KH4が追加され、「はるかぜ三号」と命名。1968年には、中型の富士-ベル204Bが導入され、「おおとり」と命名されました。

1969年当時、航空隊は中型1機、小型3機の体制で、「おおとり」と「はるかぜ二号」「三号」が東大安田講堂事件の警備に参加しました。1973年には、大型のKV-107-IIA-17が「おおぞら」として導入されました。

「はるかぜ」の配備当初、運用拠点は民間会社の施設でしたが、1964年4月に東京ヘリポートが完成したことに伴い、同地に基地施設を新設。同年5月14日に警視庁航空隊の発隊式が行われました。

当初、警察用航空機は警務部の装備担当部門が管理し、必要に応じて各部門に貸し出す方式がとられていましたが、1989年8月1日の外勤警察運営規則改正により、航空活動は外勤警察活動として位置づけられ、地域部に移管されました。その後、災害時の救助活動を円滑に行うため、2021年10月1日に警備部へ移管されました。

編制と活動

警視庁航空隊は、警ら、事件発生時の情報収集、遭難者の捜索救助など、上空からヘリコプターを使用した警察活動を行っています。特殊救助隊や山岳警備隊の救助活動を支援することもあります。

パイロットは、実務経験1年以上の警察官の中から、防衛省の適性試験で優秀な成績を収めた者が選ばれます。合格者は、外部の教育機関（一部は防衛省）で事業用操縦士の資格を取得します。その後、経験に応じて、各機種の限定変更、計器飛行証明、教育証明など、様々な資格を取得します。

整備士は、主に二等航空整備士以上の資格を持つ者が採用試験で採用されます。全員が技術職員です。

組織

活動拠点として、東京ヘリポートと立川飛行場に飛行センターを設置しています。隊本部は東京ヘリポート内にあります。

隊長（警視）
江東飛行センター（東京ヘリポート）
管理官（兼副隊長）
隊本部
庶務係
会計係
運航企画係
特務係（警察監視活動や救助支援活動を担当）
飛行班（機長を務める事業用操縦士）
整備班
立川飛行センター（立川飛行場）
管理官（兼副隊長）
飛行班
整備班

かつては飛行船も配備されていました。1989年3月から1994年3月まで、Skyship 600「はるかぜ」が運用され、立川飛行センターの近くが係留地として使用されていました。

歴代保有機材

川崎-ベル47G-2/G3B-KH4
富士-ベル204B
KV-107-IIA-17
AS365
EC225LP
AW139

警視庁航空隊は、都民の安全と安心を守るため、日々活動を続けています。

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