谷口恒二

谷口恒二：激動の時代を駆け抜けた大蔵官僚

谷口恒二（たにぐち つねじ、1894年6月18日 - 1945年5月26日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の大蔵官僚です。大蔵次官、日本銀行副総裁を歴任し、その生涯は激動の時代と深く結びついていました。

生い立ちと学歴

1894年（明治27年）6月18日、東京府東京市本郷区駒込千駄木町（現在の東京都文京区千駄木）で生まれた谷口は、旧制北野中学（現・大阪府立北野高校）、旧制第一高等学校を経て、1919年（大正8年）7月に東京帝国大学法科大学政治科を卒業しました。エリートとしての道を歩み始めた谷口は、その才能を早くから発揮し、国家の中枢を担う官僚としてのキャリアをスタートさせます。

大蔵官僚としてのキャリア

大学卒業後、谷口はただちに大蔵省に入省し、臨時調査局属としてキャリアをスタートさせます。その後、主税局勤務、大津税務署長、門司税関勤務などを経て、税務行政のエキスパートとしての道を歩みます。長崎税関監視部長兼港務部長を務めた後、1928年（昭和3年）には欧米各国へ出張し、国際的な視野を広げました。

1932年（昭和7年）には、フランス政府からレジオンドヌール勲章オフィシエを受章します。これは、日本とインドシナ間の通商協定締結に尽力したことが評価されたものでした。この功績からもわかるように、谷口は単なる税務官僚ではなく、国際的な舞台でも活躍できる能力を持っていたことが伺えます。

その後、主税局関税課長、大蔵大臣秘書官、大臣官房秘書課長、大臣官房文書課長、営繕管財局理事など、大蔵省内の要職を歴任します。満洲国皇帝からも建国功労章、満洲帝国皇帝訪日記念章を受章するなど、当時の国際情勢と深く関わりながら、その才能を発揮しました。また、1937年（昭和12年）には大蔵省主計局長に就任し、予算編成の中枢を担いました。企画院参与、内閣東北局参与、資源局参与などを歴任し、戦時体制下での経済政策にも深く関与していきます。

大蔵次官、そして日本銀行副総裁へ

1941年（昭和16年）には大蔵次官に就任。大蔵省のトップとして、戦時経済の運営に奔走します。1944年（昭和19年）には日本銀行副総裁に転じ、金融政策の中枢を担いました。しかし、太平洋戦争末期の混乱の中、谷口は1945年（昭和20年）5月26日に、東京大空襲により命を落とします。享年50歳でした。

死後の追贈

その功績を称え、同年8月8日には従三位が追贈されました。

まとめ

谷口恒二は、明治から昭和にかけて激動の時代を駆け抜けた大蔵官僚でした。税務行政、国際交渉、戦時下の経済政策など、多岐にわたる分野でその手腕を発揮し、日本の近代化に大きく貢献しました。その生涯は、国家の発展のために尽力した官僚の鑑として、後世に語り継がれるべきでしょう。

谷口の生涯は、当時の日本が抱えていた課題、そしてそれらに立ち向かった人々の姿を今に伝えています。

栄典

1932年（昭和7年）4月：勲六等瑞宝章
1934年（昭和9年）4月：勲五等瑞宝章
1937年（昭和12年）1月：勲四等瑞宝章
1940年（昭和15年）1月：勲三等瑞宝章
1940年（昭和15年）4月：勲三等旭日中綬章

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章




フランス政府よりレジオンドヌール勲章オフィシエ
満洲国皇帝より建国功労章
満洲国皇帝より満洲帝国皇帝訪日記念章
満洲国政府より銀杯（組）
* 中華民国政府（汪兆銘政権）より二級同光勲章

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