豊和M1500

豊和M1500について

豊和M1500（ほうわM1500）は、日本の豊和工業が製造したボルトアクションライフルで、国内外で狩猟用や警察用に広く利用されています。特に、日本の警察ではSAT（特殊急襲部隊）などで狙撃銃として採用されています。また、国外ではHowa Model 1500として販売されています。

概要

M1500は、豊和工業が以前に製造していた狩猟用ライフル「ゴールデンベア」をフルモデルチェンジしたもので、OEM生産で製造したウェザビー マークVライフルを参考にして設計されています。現在、国産のボルトアクションライフルとしては唯一の大口径モデルであり、豊和工業を代表する存在です。

このライフルのボルトアクション機構はモーゼル型の1ピース構造であり、コックオン・オープニングのシステムを採用しています。また、引き金には精密射撃に対応する2ステージ・トリガーが取り入れられており、安全装置は引き金を固定する基本的な形式です。米国特許を取得した3ポジション方式の安全装置が特徴で、引き金だけでなくボルトも同時に固定できる構造になっています。

M1500は5発（マグナム口径は3発）を装填可能ですが、着脱式の箱型弾倉ではなく、固定弾倉を採用しています。しかし、海外モデル用には着脱式の箱型弾倉を使用するオプションも用意されています。

国内市場のモデルには通常銃身のデラックスと、バーミンター銃身のヘビーバレルがあり、それぞれ黒染め仕様とオールステンレス仕様の2つのバリエーションが存在します。口径は22口径から30口径マグナムまで用意されており、ユーザーのニーズに応じた選択が可能です。

2011年には新型の2ステージ・トリガーシステムであるHACTが導入され、2015年には短小弾に対応するミニアクションが開発されました。海外市場では、M1500が他社のブランド名でバッジエンジニアリングされるケースもあります。たとえば、ウェザビー社ではウェザビー バンガードとして、またS&W社やモスバーグ社からも販売されています。

海外での評価

豊和M1500は海外で安価でありながら高精度で頑丈な製品として評価されています。実際、アメリカのGunBroker.comでは、2020年にボルトアクションライフルの売り上げランキングで19位に輝いています。特に海外の愛好家による試射テストで、800ヤード先の空き缶を見事に狙撃する映像も公開されています。そのため、アフターパーツも揃っており、人気を集めているようです。

しかし、日本国内での販売は、レミントンなどの海外ブランドに圧されているため伸び悩んでいるのが現状です。また、M1500に関する情報は豊和工業の日本語サイトにはほぼ掲載されておらず、英語版サイトに限られた説明が記載されています。

日本警察における利用

本来狩猟用として開発されたM1500ですが、日本警察でもバーミントハンティングモデルを狙撃銃として利用しています。このモデルは通常よりも重厚な銃身を採用しており、射撃熱による変形を防ぐ工夫がなされています。また、M1500は特殊銃I型として、木製の銃床に二脚やスコープを装着して使用されており、SATや銃器対策部隊に全面配備されています。

ウクライナにおける運用

ウクライナ陸軍特殊部隊では、M1500が『ホーグ20』という名称で狙撃銃として導入されており、.308ウィンチェスター弾を使用し、ピカティニーレールが装備されています。

登場作品

豊和M1500は漫画やアニメ、特に『名探偵コナン』や『緋弾のアリア』に登場しており、それぞれ特異な使用シーンを演出しています。

結論

豊和M1500は、その精密さと頑丈さから国内外で高く評価されていますが、日本市場での競争は厳しい状況が続いています。今後の展開にも注目が集まります。

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