豊根発電所

豊根発電所について

豊根発電所（とよねはつでんしょ）は、愛知県北設楽郡豊根村に位置していた水力発電所であり、かつて天竜川水系に属していました。この発電所は大入川から取水し、山を越えて天竜川に水を導いて最大3,450キロワットの電力を生み出していました。

歴史的背景

この発電所の起源は、1918年に古河鉱業（現・古河機械金属）によって建設された自家用発電所にさかのぼります。豊根発電所の建設は久根鉱山の電力供給のためであり、当初の発電出力は1,070キロワットでしたが、その後の増設により3,450キロワットに達しました。発電のためには、天竜川水系の大入川を使用し、堰堤を設けて導水したのです。この発電所が稼働することで、久根鉱山ではさまざまな電動機器が導入され、電化の進展が促されました。

会社の移行

1919年、古河傘下の企業によって発電所は天竜川水力電気として設立された、1921年には浜松市に電力供給を開始し、地域の電力不足を解消する重要な役割を果たしました。しかし、同年末の決算では利益がわずか6万円という厳しい状況が続きました。

その後、1922年には関西電気との合併が行われ、1930年には中部電力（岡崎）に譲渡されましたが、会社の変遷は続き、1942年には日本発送電の管理下に入りました。1951年に中部電力が再編成によって発足し、豊根発電所は正式に中部電力の運営下となりました。

発電所の移転・廃止

1955年、豊根発電所は佐久間ダム建設の影響を受けて約80メートル上方に移転し、新たに半地下式の設計で出力2,300キロワットの発電所として再開されました。しかし、さらに新たなダムである新豊根ダムの建設が進み、1971年にはダム湖の水没によって取水が不可能となるため、発電所は運転を休止しました。最終的には1972年に廃止手続きが行われました。

豊根発電所の重要な年表

• - 1918年（大正7年）2月 - 発電所運転開始
• - 1920年（大正9年）5月 - 天竜川水力電気設立
• - 1922年（大正11年）2月 - 関西電気と合併
• - 1955年（昭和30年）11月9日 - 移転と新発電所の運転開始
• - 1971年（昭和46年）12月31日 - 運転休止
• - 1972年（昭和47年）2月15日 - 廃止

結論

豊根発電所は、地域の鉱業発展に寄与した重要なインフラでしたが、時代の変遷とともに廃止される運命となりました。発電所としての歴史を通じて、地域の電力供給の歴史や技術の発展を垣間見ることができる貴重な施設でした。

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