豊田市中央図書館

豊田市中央図書館

豊田市中央図書館は、愛知県豊田市西町に位置する公共図書館です。名鉄豊田市駅東側の参合館の3階から7階にあり、アクセスも良好です。

特徴

豊田市は、トヨタ[[自動車]]の本社がある自動車産業の盛んな都市です。そのため、豊田市中央図書館は自動車に関する資料の収集に力を入れており、公共図書館としては日本最大級の自動車資料コレクションを所蔵しています。

図書館サービスは、中央館である豊田市中央図書館を中心に、分館である豊田市こども図書室、そして31のネットワーク館で構成されています。2015年度時点の蔵書数は、全国の中核市の中で最も多く、市民の学習や調査研究を強力にサポートしています。

歴史

西町時代（1946年 - 1954年）

豊田市における図書館の歴史は、1926年（昭和元年）に挙母町（ころもちょう）に図書館が設立されたことに始まります。太平洋戦争後の1946年（昭和21年）には、挙母町立図書館が西町の挙母町都市計画事務所内に開設されました。その後、挙母町中央公民館に移転し、1950年（昭和25年）には2名の職員と約1,000冊の蔵書を有するまでになりました。

1951年（昭和26年）に挙母町が市制施行して挙母市となると、図書館も挙母市立図書館に改称しました。市制施行時には約4,000冊の蔵書と兼任館長、2名の臨時職員がいました。

喜多町時代（1954年 - 1970年）

1953年（昭和28年）には、愛知県から払い下げを受けた建物を活用し、1954年（昭和29年）には、図書館として独立した建物に移転しました。図書館法に基づき、専任館長が就任し、図書館協議会が運営にあたるようになりました。同年には貸出巡回文庫も開始され、図書館の機能が拡充されました。

1955年（昭和30年）には夜間開館が始まり、アメリカ文化センターからの資料寄贈を受け、A.C.C.資料室も併設されました。また、内藤政光氏から挙母藩蔵書3,200冊の寄贈を受け、蔵書数は1万冊に到達しました。1959年（昭和34年）には、挙母市が豊田市に市名変更したことに伴い、図書館も豊田市立図書館に改称されました。

喜多町の建物は、1970年以降は准看護学校や青少年相談所として使用され、その後は豊田市近代の産業とくらし発見館となりました。2023年3月31日に同館が閉館し、2024年4月26日に豊田市総合博物館として移転開業しました。

陣中町時代（1970年 - 1998年）

昭和40年代には、豊田市で公共施設の開館が相次ぎました。図書館も1970年（昭和45年）には陣中町に移転し、延床面積2,004.75m2の新館が開館しました。設計は青島設計室が担当し、開放的な空間とゆったりとしたピロティが特徴で、中部建築賞を受賞しました。

新館開館時には約6万冊の蔵書があり、閲覧室の拡充や電動書架の導入など、設備の近代化が図られました。開館直後には、移動図書館車「ひまわり号」の運行を開始し、1973年には豊田加茂広域市町村圏移動図書館にサービスが移管されました。1974年には視聴覚資料の貸出を開始、1974年度末には蔵書数は9万冊を超え、貸出冊数も大幅に増加しました。

1979年には児童室が増築され、1981年には書庫や会議室なども増改築されました。1980年には図書館業務の電算化が始まり、本館とコミュニティセンター図書室がオンラインで結ばれました。また、1990年には郵送貸出サービスを開始し、祝日開館も始まりました。1992年にはイギリスのオックスフォード大学ボドリアン図書館との間で国際交流宣言に調印するなど、国際的な交流も深めました。

参合館時代（1998年 - 現在）

1998年（平成10年）11月3日、豊田市中央図書館は現在の参合館に移転し、開館しました。開館記念事業として、ボドリアン図書館の所蔵品展が開催され、貴重な資料が展示されました。開館時の蔵書数は約45万冊と、旧館から大幅に増加しました。

1999年にはすべてのコミュニティセンター図書室がネットワーク化され、どこでも返却が可能になりました。2000年には総入館者数が100万人を突破し、旧館と比較して利用者が大幅に増加しました。2001年からは平日の開館時間が固定され、窓口業務の一部を外部委託するようになりました。2005年には、書庫に電動書架を増設し、蔵書能力を大幅に拡大しました。

2005年には周辺町村との合併により、旧自治体の図書室がオンラインで結ばれました。2006年からは市内の大学図書館との相互利用協定が締結され、利用者の利便性が向上しました。2008年には豊田市こども図書室が中央館の分館となりました。

2008年のリーマンショックの影響で、図書購入費が大幅に削減されましたが、2012年には館内整理日の開館や窓口業務の外部委託を進めました。

指定管理者制度導入後（2017年 - 現在）

2017年からは指定管理者制度が導入され、図書館流通センター・ホーメックス共同企業体が運営を担当しています。これにより、司書数は増加しましたが、職員数は減少しました。開館時間が20時まで延長され、より利用しやすくなりました。自動貸出返却システムの導入や、館内巡回を行うマネージャーの配置など、サービス向上が図られています。

移動図書館

豊田市単独時代（1970年 - 1973年）

1970年には移動図書館車「ひまわり号」の運行が開始され、市内各地を巡回していました。

豊田加茂広域市町村圏移動図書館（1973年 - 2005年）

1973年には、豊田加茂広域市町村圏事務処理組合により、移動図書館の運行が開始されました。ピーク時には年間40万冊以上の貸出がありましたが、2005年の市町村合併に伴い廃止されました。移動図書館は、広域圏内の地域格差是正に貢献しました。

各館

中央図書館

豊田市中央図書館がある参合館は、名鉄豊田市駅から徒歩3分の場所にあり、図書館専用のエレベーターとエスカレーターが設置されています。各階には障害者用トイレがあり、視覚障害者誘導用ブロックや拡大読書器も設置されています。書架の間隔も広く、車いす利用者も利用しやすい設計になっています。

分館

豊田市こども図書室は、市民ボランティアが運営する図書室として開館し、現在は中央図書館の分館となっています。児童向けの図書が充実しており、多くの子供たちに利用されています。

ネットワーク館

豊田市には31のネットワーク館があり、中央館と同様のサービスを利用できます。中央館とネットワーク化されているため、どこでも返却が可能です。ネットワーク館では、図書の予約やリクエスト、レファレンスサービスなどは利用できません。

蔵書

2015年度末時点の蔵書数は、中央館が約114万冊、ネットワーク館が約59万冊、こども図書室が約24,000冊であり、合計約175万冊でした。貸出冊数は約345万冊で、市民一人当たりの貸出冊数は約8冊となっています。蔵書数は全国の中核市の中で最多です。

自動車資料

豊田市中央図書館は、自動車資料の収集に力を入れており、公共図書館としては日本最大級のコレクションを誇ります。自動車会社の社史、専門書、修理書、モータースポーツ関連書など、幅広い資料を収集しており、企業や個人からの寄贈も多いです。自動車雑誌も充実しており、『オートカー』や『モーターマガジン』など、貴重なバックナンバーを所蔵しています。

郷土資料・自治体史

豊田市を中心とする愛知県の資料や、全国各地の自治体史も積極的に収集しています。美術工芸家の藤井達吉や文学博士の簗瀬一雄の文庫も所蔵しています。また、挙母藩の藩校である崇化館に伝わる江戸時代の古版本・古写本を収めた衣文庫も所蔵しています。

本多兄弟文庫

豊田市出身の本多静雄・秋五兄弟から寄贈された図書や雑誌を展示する「本多兄弟文庫」もあります。静雄の関連資料は約11,700点、秋五の関連資料は約68,800点あります。

利用

貸出

2016年時点では、愛知県在住者または豊田市在勤・在学者が館外貸出を利用できます。図書は15冊まで、紙芝居は5組まで、カセット・CDは5点まで借りることができ、貸出期間は2週間です。

相互利用

豊田市内の4大学・1高専と蔵書の相互利用を行っており、大学図書館の資料も借りることができます。

まとめ

豊田市中央図書館は、豊富な資料と充実したサービスを提供し、地域住民の学習・調査活動を支える重要な施設です。自動車資料や郷土資料など、特色あるコレクションも魅力です。

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