豊積神社

豊積神社の概要

豊積神社（とよづみじんじゃ）は、静岡県静岡市清水区に位置する神社です。古くは式内社として、また駿河国二宮として知られ、地域の人々から崇敬を集めてきました。旧社格は郷社です。

祭神

祭神は、木之花佐久夜毘売命（このはなさくやひめのみこと）一柱です。

歴史

創建と伝承

社伝によれば、豊積神社の創建は延暦10年（791年）とされています。また、武将坂上田村麻呂が東征の際に戦勝を祈願し、帰路には戦勝を祝って神楽を奉納したと伝えられています。この神楽が、現在も行われているお太鼓祭（県指定無形民俗文化財）の起源とされています。

延喜式神名帳

延長5年（927年）に編纂された『延喜式』神名帳には、駿河国廬原郡（庵原郡）に「豊積神社」という記載があり、この神社が現在の豊積神社であるという説が有力です。

駿河国二宮としての地位

寛文年間（1661年-1673年）頃に成立したとされる偽書『駿河国風土記』には、「豊積神社或止由気神社日本武尊祭之地也、国中之二宮也」と記されています。この記述から、豊積神社は駿河国において富士山本宮浅間大社（一宮）に次ぐ二宮の地位にあったと推測されています。ただし、この記述の根拠は不明です。

江戸時代から明治時代へ

江戸時代の朱印地は16石余でした。天正17年（1589年）の文書には「浅間」とも称されていたことが記されており、近世には浅間信仰の影響も受けていたことが伺えます。享保21年（1736年）の口上書では、「豊積浅間社」と称し、式内社「豊積神社」の後裔であると主張しています。明治維新後の明治6年（1873年）には、近代社格制度において郷社に列しました。

神階

『駿河国神名帳』には「正五位下 豊積天神」と記載されています。

境内

本殿

本殿は総欅造の流造で、屋根は銅板葺です。棟札によれば文政8年（1825年）の造営ですが、それ以前にも慶長5年（1600年）の造営、享保17年（1732年）の造替があったとされています。屋根は元々檜皮葺でしたが、明治22年（1889年）に銅板葺に葺き替えられました。昭和28年（1953年）には大修理が行われ、現在の姿に至っています。

その他

境内には、イチョウやクスノキなどの大木がそびえ立ち、神社の歴史を感じさせます。

摂末社

豊積神社には、以下の摂末社が祀られています。

白髭神社 - 祭神：猿田彦神
山宮神社 - 祭神：大山祇神
日枝神社 - 祭神：大山咋命、速須佐之男命
須賀神社 - 祭神：建速須佐之男命
稲荷神社 - 祭神：倉稲魂命
磯前神社 - 祭神：大国主命、事代主命

文化財

静岡県指定無形民俗文化財

* 由比のお太鼓祭 - 平成10年11月17日指定。豊積神社の例祭で、坂上田村麻呂が奉納した神楽が起源と伝えられています。

まとめ

豊積神社は、古代から続く歴史と文化を持つ神社です。駿河国二宮としての格式を持ち、お太鼓祭などの伝統行事も受け継がれています。美しい社殿や境内の大木は訪れる人々を魅了し、地域の信仰の中心として現在も重要な役割を果たしています。

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