貢士

貢士（こうし）とは

貢士（こうし、満洲語：ᠰᠣᠨᠵᠣᠰᡳ、sonjosi）は、中国の人材登用制度における称号の一つです。その概念は時代によって異なり、周代から清代にかけて変遷を遂げました。各時代でその意味合いや役割が変化しており、中国の官僚制度を理解する上で重要な要素となっています。

周代における貢士

周代においては、諸侯が天子に推薦する人材を指して「士」と呼びました。この時代の貢士は、地方の有力者によって選ばれ、中央政府に推薦されるエリート層でした。

漢代における貢士

漢代では、封国や郡県が推挙する「孝廉」が貢士に相当しました。孝廉とは、孝行に優れ、かつ清廉な人物を指し、地方官が人材を中央に推薦する際に用いられた制度です。この制度により、地方の優秀な人材が中央政府へと登用される道が開かれました。

唐・宋代における貢士

唐代から宋代にかけては、州や府で行われる試験が「郷貢」と呼ばれるようになり、その合格者が「郷貢士」と称されました。この制度は、科挙制度の前身とも言えるもので、地方の学校や役所から選抜された者が中央での試験を受ける資格を得るためのものでした。

明・清代における貢士

明・清代では、会試に合格した者が「貢士」と呼ばれるようになりました。会試は、科挙の本試験である殿試の前に行われる試験で、合格者は官僚への道が開かれる重要な関門でした。貢士の中でも特に優秀な者は特別な称号が与えられました。会試で第一等の成績を収めた者は「会元」、10位までの者は「元魁」、11位から20位までの者は「会魁」と称されました。

貢士から進士へ

貢士は、最終的に殿試と呼ばれる試験で順位が決定され、合格すると「進士」という官僚資格を得ることになります。しかし、北宋時代からは、殿試で貢士を落第させる慣例は無くなりました。そのため、一般的には会試に合格すると同時に進士とみなされるようになりました。これは、会試の合格が実質的に官僚としての身分を保証するものであったことを意味します。

貢士の重要性

貢士は、中国の官僚制度において、人材登用の重要な過程における称号でした。その意味合いは時代とともに変化しましたが、常に優秀な人材を選抜し、官僚として登用するための制度として機能していました。貢士の制度は、中国社会における学問の重要性や、官僚制度の変遷を理解する上で欠かせない要素です。

参考文献

宮崎市定『科挙』（中央公論社、1963年）

関連項目

挙人

この文章は、貢士の歴史的な変遷と、その制度が中国の官僚制度においてどのような役割を果たしたのかを詳細に解説したものです。各時代の貢士の定義や、科挙制度との関連性について深く掘り下げています。

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