貴石

貴石とは

貴石（きせき）とは、宝石の中でも特に珍重され、高値で取引されるものを指します。英語では"precious stone"、フランス語では"pierre précieuse"と呼ばれます。狭義には、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドの四大宝石が貴石とされますが、希少性や硬度を基準として、他の宝石も貴石に含められることがあります。しかし、貴石の定義は国や専門家によって異なり、宝石業界内でも統一された見解はありません。

貴石以外の宝石は半貴石（はんきせき）と呼ばれますが、この区別も曖昧で、多くの半貴石が品質によってはダイヤモンドよりも高価になることがあります。

定義をめぐる議論

19世紀から多くの学者や国際機関が貴石と半貴石の区別について議論を重ねてきましたが、明確な線引きは未だにされていません。2019年の文献では、この区別は根拠が曖昧で推奨されるべきではないとされていますが、依然として貴石・半貴石という言葉は広く使われています。

このような区別は非論理的であるという意見もあり、宝石イコール貴石とすべきだという主張もあります。

フランスでは、かつてダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドを貴石と定義していましたが、2002年の法令により、半貴石という言葉は公的に使用されなくなりました。

一般的に、貴石の条件の一つとしてモース硬度が7以上であることが挙げられます。これは、空気中の砂塵に含まれる石英（硬度7）が宝石に与える影響を考慮したもので、硬度7以下の宝石は慎重に扱わないと摩耗して価値が減少するためです。ただし、ヒスイやオパールは硬度が7以下ですが、日本では高く評価されるため、しばしば貴石として扱われます。

また、貴石・半貴石という言葉の根拠として、物品税法や関税定率法を挙げる人もいますが、これらの法令にも「具体的にどれが半貴石か」という明確な規定はありません。

異なる定義

東京工業大学名誉教授の崎川範行氏は、宝石の中で比較的高価なものを宝石（狭義）とし、それ以外を貴石と定義しました。このような定義を採用する文献も存在します。

貴石の例

参考文献において貴石として挙げられている宝石には、以下のようなものがあります。

アクアマリン
アレキサンドライト
エメラルド
オパール
ブラックオパール
ガーネット
キャッツアイ
サファイア
ジルコン
スターサファイア
スタールビー
スピネル
ダイヤモンド
タンザナイト
トパーズ
トルマリン
パライバトルマリン
ヒスイ
ペリドット
ルビー

このように、貴石の定義は様々であり、一概に決めることは難しいのが現状です。

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