贖罪礼拝堂

贖罪礼拝堂（Chapelle expiatoire）

パリ8区、ルイ16世広場に佇む贖罪礼拝堂は、フランス革命の犠牲者を弔うために建てられたカトリックの礼拝堂です。この礼拝堂は、革命期にギロチンで処刑された人々、特にルイ16世と王妃マリー・アントワネットが一時的に埋葬されたマドレーヌ墓地の跡地に建てられました。

歴史的背景

1792年8月10日、民衆がテュイルリー宮殿を襲撃した際、多くのスイス衛兵も犠牲となりました。彼らもまた、マドレーヌ墓地に埋葬されました。その後、ルイ16世とマリー・アントワネットの遺骸は1815年1月にサン＝ドニ大聖堂に移されましたが、この場所は革命の悲劇を象徴する場所として記憶されました。

ルイ18世は、この場所に革命の犠牲者を追悼する礼拝堂を建設することを決定しました。建築家には、新古典主義建築の巨匠ピエール＝フランソワ＝レオナール・フォンテーヌが任命され、1815年から1826年にかけて礼拝堂が建設されました。

建築の特徴

贖罪礼拝堂は、ヴェルサイユにあるラ・レーヌ修道院からインスピレーションを得ています。外観は、回廊、納骨堂、瞑想エリアなどが組み合わさり、閉じられた空間を形成しています。ドーリア式のポルチコを通り、礼拝堂へと入ることができます。

礼拝堂の中心部は、殉教者の記念堂（マルティリウム）のように設計されており、ギリシャ十字型の構造をしています。ドームと半ドームで囲まれた立方体の空間は、ペリスタイルによって調和が保たれており、その建築美は高く評価されています。

内部は、フォンテーヌの卓越した技術が際立っています。半球型アーチと格天井を持つヴォールトは、ドームの頂部にある丸窓から差し込む自然光で照らされています。この自然光は、礼拝空間を荘厳な雰囲気に包み込みます。

地下聖堂の祭壇は、まさにルイ16世が埋葬されていた場所を示しています。この建築は、伝統的な教会建築の形式を踏襲しつつ、新たな要素を取り入れた独創的なものであったと言えるでしょう。

フランソワ＝ルネ・ド・シャトーブリアンは、贖罪礼拝堂を「おそらくパリで最も傑出した記念碑である」と評しました。

礼拝と記念

現在でも、伝統的なレジティミスト（王政復古を支持する人々）の示威運動として、毎年ルイ16世とマリー・アントワネットの安息を祈るミサが執り行われています。

彫刻作品

礼拝堂内部には、2つの重要な彫刻作品が展示されています。フランソワ＝ジョゼフ・ボジオ作の『ルイ16世と、天国を指し示す天使』と、ジャン＝ピエール・コルトー作の『たゆまぬ信仰に支えられるマリー・アントワネット』です。

アクセス

最寄りの駅は、パリメトロ9号線のサントーギュスタン駅です。

1914年7月22日には、フランスの歴史文化財に登録されています。

贖罪礼拝堂は、革命の悲劇を記憶し、犠牲者を弔う場所として、今も多くの人々に訪れられています。

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