赤十字救急法救急員
赤十字救急法救急員について
赤十字救急法救急員は、日本赤十字社が認定する救急法に関する資格です。この資格は、事故や急病、災害時など、緊急を要する状況下で適切な救命処置や応急手当を行うための知識と技術を習得していることを証明します。
概要
赤十字救急法救急員の制度は、1926年に開始された「衛生講習会」を起源としています。講習は通常2日間（12時間）で行われ、救命手当や応急手当の基本を学びます。講習の最終日には筆記試験と実技試験が実施され、両方に合格することで日本赤十字社から救急法救急員として認定されます。合格者には認定証が交付され、全日程を修了した者には受講証が発行されます。したがって、合格者は受講証と認定証の両方を受け取ることになります。
日本では様々な団体が救急法講習を実施していますが、赤十字の救急法救急員養成講習は、災害ボランティア要員の育成という使命も担っています。そのため、講習内容は搬送法や包帯法など、比較的広範囲にわたります。講習の終盤には、多数の負傷者が発生した状況を想定した「総合実技（救護シミュレーション）」が課され、実践的な対応能力が試されます。
資格の有効期限は、認定日から5年間です。2007年4月1日には、下位レベルの「一般講習」が廃止され、代わりに「赤十字救急法基礎講習」が新設されました。救急員資格を取得するためには、この基礎講習の修了が必須となります。また、講習内容も全面的に見直され、かつては資格継続研修制度がありましたが、2019年3月に廃止され、現在では資格更新制度はありません。
歴史
日本赤十字社は、日本において救急法教育を始めた長い歴史を持つ組織です。そのため、各都道府県の運転免許試験場の検定員への救急法指導や、各種スポーツ指導者の資格取得要件としても採用されています。防災士の認定においても、赤十字救急法救急員資格は消防本部が実施する救命講習と同等に扱われます。ただし、警備会社などでは、より公的な資格として扱われる消防本部実施の上級救命講習が推奨される場合があります。一方、防災士認定においては、赤十字救急法救急員資格を持つ者は、日赤特例講習を受講することで、認定試験の受験資格を得られるなどの優遇措置があります。
酸素欠乏危険作業主任者や酸素欠乏硫化水素危険作業主任者の技能講習においては、救急員認定証を持つ者は、実技講習のうち「救急蘇生の方法」2時間が免除されます。
現勢
2005年のデータでは、赤十字救急法救急員の講習受講者は約37万人、有資格者は12万人です。救急救命講習の受講者数としては、消防本部の普通救命講習（年間約100万人）に次いで国内2位です。
講習受講について
赤十字救急法救急員養成講習を受講するためには、事前に「赤十字救急法基礎講習」を修了している必要があります。養成講習の受講料は1,800円（教材費などの実費）です。
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