赤塚自得

赤塚 自得（あかつか じとく）

赤塚自得は1871年に東京市芝区浜松町で生まれ、1936年までの生涯を日本の漆芸に捧げた著名な漆芸家です。本名は平左衛門で、漆芸に特化した彼の作品は後の世代に大きな影響を与えました。

略歴

自得は、代々漆芸の家系に生まれ育ち、幼少期から自然に漆芸の道に親しむ環境にありました。彼は勧学義塾に通いながら、狩野久信に日本画と蒔絵を学び、その後寺崎広業の指導のもとでさらに技術を磨きました。また、白馬会に参加し、洋画も体験することで独自の視点を持つようになりました。

1925年、彼は金工家の香取秀真や陶芸家の板谷波山と共に工芸済々会を設立し、作品の発表の場を求めて活動を広げました。2年後の1927年には、第8回帝国美術院展覧会で漆工の審査委員を務め、1930年には帝国美術院の会員に選出されるなど、漆芸界における彼の立場は確固たるものになっていきました。

自得は、伝統技術を基盤としながらも、独自の創意をもって自然をテーマとした作品を創作しました。彼は漆芸の近代化を推進し、大正から昭和初期の漆芸界では指導的な役割を果たしました。自得の作品は、その美しさと技術の高さから評価され、多くの美術館に収蔵されています。

主な作品

赤塚自得の代表的な作品には、次のものがあります：

• - 蓬莱山蒔絵硯箱（1918年作） - 東京国立博物館所蔵。
• - 竹林図蒔絵硯箱及文台（大正期作） - 京都国立近代美術館所蔵。
• - 菊蒔絵硯箱（1900年作） - 東京富士美術館所蔵。
• - 牡丹花硯箱（年代不詳） - 東京芸術大学大学美術館所蔵。
• - 金地蝶牡丹唐草蒔絵文庫（年代不詳） - 広島県立美術館所蔵。

自得の作品は、彼の優れた技術と芸術的感受性を示しており、漆芸の奥深さと美しさを後世に伝えています。

人生の終焉

赤塚自得は1936年に65歳でこの世を去りました。彼の墓所は多磨霊園にあり、彼の卓越した業績は今もなお多くの人々に評価されています。自得の作品は、彼の遺した伝統と革新の融合として、今後も漆芸界に大きな影響を与え続けることでしょう。

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