赤木範陸

赤木範陸（あかぎ のりみち）は、1961年9月生まれの日本の洋[[画家]]であり、横浜国立大学の教授を務めています。彼は、エンカウスティーク（蝋画）技法の研究における日本の第一人者として広く知られています。

概要

赤木は、日本国内におけるエンカウスティーク技法の研究を牽引する存在であり、その卓越した技術と芸術性は、美術評論家の米倉守、美術史家のフリードリッヒ・ピール、ヘルムート・フリーデルらからも高く評価されています。

彼の作品の特徴は、地塗りをしていない亜麻布を背景に用い、特殊な蜜蝋でモチーフの暗部を染み込ませることで明暗を表現する独特の画肌です。この技法は、古代エンカウスティーク技法を基に、赤木自身が独自に発展させたものであり、彼の芸術的探求の証と言えるでしょう。

赤木は、自身の作品に現代ドイツ芸術の抽象理論を導入することを試みましたが、それは作品自体の抽象化ではなく、あくまで理論的な影響にとどまると、2001年の回顧展図録で述べています。これは、彼の作品に対する深い考察と、理論と実践のバランスを重視する姿勢を示しています。

初期の作品では、卵黄テンペラ、蝋テンペラ、混合技法など、様々なテンペラ技法を駆使していましたが、1990年頃からはエンカウスティーク技法を改良した、絵具を使用しない濡れ色の絵画作品を発表しており、画風は年代によって大きく変化しています。

学歴

赤木は、1961年に大分県別府市で生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。同大学院博士前期課程を修了し、芸術学修士の学位を取得しました。大学院在学中には、ドイツ学術交流会（DAAD）の給費生としてミュンヘン国立芸術大学に留学し、1995年にディプロム（卒業資格）を取得。同時に、芸術家に与えられる最高学位であるマイスターシューラーの称号を授与されています。

作品の特徴

赤木の作品は、その独特な技法によって、独特の質感と深みを持っています。蜜蝋を染み込ませることで生まれる深みのある色彩と、亜麻布の質感が織りなすコントラストは、見る者を魅了します。

また、彼の作品は、単なる絵画作品としてだけでなく、古代の技法と現代の理論が融合した、芸術的探求の結晶としても捉えることができるでしょう。その革新的な試みは、現代美術の新たな可能性を示唆しています。

参考文献

赤木範陸の作品や活動については、以下の文献でより詳しく知ることができます。

赤木範陸画集1991（銀座東邦アート社刊）
大分市美術館所蔵品選1999, 2004（大分市美術館刊、蔵）
赤木範陸ー錬金術師の軌跡ー展 図録2001（大分市美術館刊、蔵）
赤木範陸講演記録2001（大分市美術館）
赤木範陸ー湯浴み−展 図録2002（朝倉文雄記念美術館）
日韓現代美術展 図録2005（アジア現代美術館、世宗美術館）
自画像の証言展 図録2007（東京芸術大学美術館）
KAOS展 図録2011（日本橋高島屋美術画廊）
赤木範陸展―濡れ色の神秘 Enkausutikー 図録2012（尾道大学付属美術館）
横浜国立大学紀要No.9, No.10, No.11, No12, No13, No15 (国立国会図書館蔵)
アートコレクター2011/5月号
美術の窓（2012/3月号 9月号, 2013/4月号）
月刊美術（2010/10月号, 2011/4月号 8月号, 2012/9月号, 2013/4月号）

その他

赤木は、その活動の幅を広げ、岩波文庫「波紋」ルイーゼ・リンザー著の表紙画と挿入画、ドイツ、バートクロチンゲン産ワインのラベル画なども手がけています。

外部リンク

NORIMICHI AKAGI - 公式サイト
* 研究者プロフィール - 横浜国立大学

赤木範陸は、エンカウスティーク技法を現代に蘇らせ、独自の表現を追求し続ける現代美術家であり、その作品は、今後も多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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