赤橋登子

赤橋登子について

赤橋登子（あかはし とうし / なりこ）は、1306年に生まれ、1365年に亡くなった女性で、鎌倉時代から南北朝の時代にかけて活躍しました。彼女は室町幕府の初代将軍である足利尊氏の正室であり、その家系や生涯は日本の歴史において重要な位置を占めています。

系譜

登子は、北条氏の一族の中でも高い家格を持つ赤橋家に生まれました。彼女は北条久時の娘であり、兄には鎌倉幕府最後の執権である守時や、最後の鎮西探題の英時がいます。彼女の夫は足利尊氏（高氏）で、二人の間には室町幕府第2代将軍の足利義詮や初代鎌倉公方の足利基氏、娘の鶴王などが生まれました。

生涯

足利氏は北条氏に次ぐ有力な家系であり、登子が高氏に嫁いだ頃、彼女は北条重時の玄孫でもありました。登子は1330年に嫡男千寿王（後の義詮）を出産し、その後の動乱に巻き込まれることになります。1333年には、夫である高氏が後醍醐天皇の叛乱鎮圧に出陣した際、登子は千寿王とともに鎌倉に人質として留まることになります。

その後、登子は鎌倉を脱出しますが、新田義貞の叛乱軍によって家族は滅亡の危機に瀕します。兄たちも次々に自害し、家族の悲劇を背負いながら彼女は生き続けました。尊氏が室町幕府を樹立すると、登子は御台所として従二位に叙せられ、1340年には初代鎌倉公方となる足利基氏を産みます。

尊氏の死後、登子は「大方殿」と呼ばれるようになり、おそらく夫の死に殉じて出家したとされています。彼女は1365年にこの世を去り、享年60でした。戒名は登真院殿定海大禅定尼であり、京都の仁和寺に埋葬されました。

人物像

登子は、母として多くの子供を育てました。彼女は義詮と基氏をはじめ、少なくとも二男一女を持ったことが文献から確認されています。彼女は尊氏の庶子である足利直冬の認知に対抗し、彼を虐待したとも言われていますが、これは北条家が滅びたことから復讐の念や家名を守る思いが影響したのかもしれません。

登子はまた、正親町家との関係にも注目される存在でした。貞和4年には直仁親王が立太子され、その際に足利氏とのつながりが重視されたことが指摘されています。登子の姉妹が正親町光蔭の妻という説もあり、足利家と北朝の重臣との関係も深いものでした。

まとめ

赤橋登子は、その一生を通じて家族や家系の存続に尽力し、時代の変遷の中で重要な役割を果たした女性です。彼女の人物像や家族の苦難は、当時の歴史的背景を知る上で欠かせない要素であり、彼女の存在は日本の中世史において色濃く残っています。

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