超苦鉄質岩

超苦鉄質岩（ちょうくてつしつがん）

定義と特徴

超苦鉄質岩は、地球を構成する岩石の中でも、特定の鉱物を極めて高い割合で含むグループに分類されます。この岩石の最も際立った特徴は、カンラン石や輝石、角閃石といった、マグネシウムや鉄を豊富に含む有色鉱物である「苦鉄質鉱物（マフィック鉱物）」がその組成の大部分を占めている点にあります。これらの鉱物は、一般的に密度が高く、岩石全体に暗い色合いをもたらします。

一方で、地殻を構成する岩石に多く見られる、アルミニウムやケイ素、アルカリ金属などを主成分とする「珪長質鉱物（フェルシック鉱物）」は、超苦鉄質岩にはほとんど含まれていません。珪長質鉱物の代表例としては、長石や石英が挙げられます。これらの鉱物は、通常、明るい色をしており、岩石の密度も比較的低い傾向があります。超苦鉄質岩という名称は、文字通り「非常に（超）苦鉄質鉱物に富む（苦鉄質）」岩石であることを示しています。

英語ではウルトラマフィックロック（ultramafic rock）と呼ばれ、「超マフィック岩」という呼称も用いられます。

超塩基性岩との関連

岩石は、その化学組成、特に二酸化ケイ素（SiO2）の含有量によって分類されることもあります。この分類基準において、SiO2含有量が特に少ない岩石群は「超塩基性岩」と呼ばれます。超苦鉄質岩は、鉱物組成に基づいて定義される分類ですが、カンラン石や輝石といった苦鉄質鉱物を大量に含む岩石は、必然的にSiO2含有量が低くなる傾向があるため、多くの場合、超苦鉄質岩と超塩基性岩はほぼ同じ岩石群を指す言葉として扱われます。ただし、厳密には定義の根拠が異なるため、場合によっては区分されることもあります。

主な種類

超苦鉄質岩に分類される代表的な岩石には、以下のようなものがあります。

かんらん岩（Peridotite）: 主にカンラン石から構成される岩石で、地球のマントルの主要な構成物質と考えられています。
輝石岩（Pyroxenite）: 主に輝石グループの鉱物から構成される岩石です。
角閃石岩（Hornblendite）: 主に角閃石グループの鉱物から構成される岩石です。
蛇紋岩（Serpentinite）: かんらん岩や輝石岩などが、水との反応（蛇紋岩化作用）によって変質してできた岩石です。蛇紋石グループの鉱物を主成分とします。

これらの岩石は、構成する苦鉄質鉱物の種類や割合、変質の度合いなどによって、さらに多様な種類に細分化されます。

岩石分類における位置づけ

超苦鉄質岩は、マグマが冷え固まってできた「火成岩」という大きなグループに属します。火成岩は、構成鉱物の種類や粒の大きさ、形成された場所などによって様々に分類されます。

鉱物組成に基づく分類としては、超苦鉄質岩の他に、苦鉄質鉱物と珪長質鉱物を中間的な割合で含む「苦鉄質岩（マフィック岩）」、「中間質岩（インターミディエイト岩）」、そして珪長質鉱物を多く含む「珪長質岩（フェルシック岩）」といった区分があります。超苦鉄質岩は、この中でも最も苦鉄質鉱物の割合が高い極端なグループとして位置づけられます。

また、前述の化学組成（SiO2量）に基づく分類においても、超塩基性岩、塩基性岩、中性岩、酸性岩といった区分が存在し、超苦鉄質岩はその化学組成から超塩基性岩に相当することが多いです。

これらの分類は、岩石がどのようなマグマから、どのような環境で形成されたのかを知る上で重要な手がかりとなります。超苦鉄質岩は、地球内部の情報を解き明かす上で非常に重要な岩石群です。

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