酸性岩

酸性岩とは

[酸]]性岩（さんせいがん、英: acid rock）とは、岩石を構成する成分である二[[酸化ケイ素]の含有量（重量%）が66%以上のものを指します。ここでいう「酸性」という言葉は、化学における酸性・アルカリ性とは全く異なる意味で使用されている点に注意が必要です。岩石学における酸性岩は、その組成によって分類されるもので、化学的な性質を示すものではありません。

一般的に、酸性岩は苦鉄質鉱物（マフィック鉱物）よりも珪長質鉱物（フェルシック鉱物）を多く含んでいます。そのため、珪長質岩（フェルシック岩）とほぼ同義で用いられることもありますが、両者は定義が異なる概念です。酸性岩はSiO2の含有量によって定義される一方、珪長質岩は含有する鉱物の量比によって定義されます。

酸性岩の主な種類

酸性岩には、様々な種類があります。代表的なものとして、以下のような岩石が挙げられます。

花崗岩（かこうがん、granite）
代表的な深成岩で、石英、長石、雲母などの鉱物から構成されています。白っぽい色合いで、建築材料や装飾品としても利用されます。
流紋岩（りゅうもんがん、rhyolite）
火山岩の一種で、花崗岩と同じような化学組成を持ちます。ガラス質の部分を含み、緻密で固いのが特徴です。溶岩として地表に噴出したり、火砕流として堆積したりします。
花崗閃緑岩（かこうせんりょくがん、granodiorite）
深成岩の一種で、花崗岩と閃緑岩の中間の組成を持ちます。石英、長石、角閃石、黒雲母などを含みます。

酸性岩の分類と関連する用語

酸性岩は、火成岩の一種であり、マグマが冷却・固結して形成されます。火成岩は、その化学組成や形成される環境によって、さまざまな種類に分類されます。

火成岩：マグマが冷えて固まった岩石の総称。
深成岩：地下深くでマグマがゆっくりと冷えて固まった岩石。花崗岩、閃緑岩などが該当。
火山岩：地表や地表付近でマグマが急速に冷えて固まった岩石。流紋岩、安山岩などが該当。

岩石の分類では、SiO2含有量に応じて、以下のように分類されることがあります。

超塩基性岩：SiO2含有量が45%未満の岩石
塩基性岩：SiO2含有量が45%以上52%未満の岩石
中性岩：SiO2含有量が52%以上66%未満の岩石
酸性岩：SiO2含有量が66%以上の岩石

また、構成する鉱物の種類によって、以下のような分類もされます。

超苦鉄質岩：かんらん石や輝石などの苦鉄質鉱物を主とする岩石
苦鉄質岩：斜長石と輝石を主とする岩石
中間質岩：苦鉄質鉱物と珪長質鉱物の中間の岩石
珪長質岩：石英や長石などの珪長質鉱物を主とする岩石

酸性岩の利用

酸性岩は、その美しい色合いや硬さから、建築材料や装飾品として利用されることがあります。特に花崗岩は、建物の外壁や床材、モニュメントなどに広く使われています。また、流紋岩は、研磨することで光沢が出るため、装飾品や工芸品にも利用されます。

まとめ

酸性岩は、SiO2の含有量が66%以上の岩石であり、その種類は多岐にわたります。火成岩の一種として、地球の地質構造を理解する上で重要な役割を果たしています。化学的な酸性・アルカリ性とは異なる分類であること、また、珪長質岩とほぼ同義で用いられるものの定義が異なることを理解しておくと良いでしょう。

参考資料

都城秋穂、久城育夫『岩石学II - 岩石の性質と分類』共立出版〈共立全書〉、1975年、6-8・74-86頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年、230-232・239-245頁。ISBN 4-320-04578-5。
山崎貞治『はじめて出会う岩石学 : 火成岩岩石学への招待』共立出版、1990年、85頁。ISBN 4-320-04623-4。

関連項目

岩石 - 火成岩
超塩基性岩・塩基性岩・中性岩
超苦鉄質岩・苦鉄質岩・中間質岩・珪長質岩
酸と塩基 - 酸・塩基・中性 ([[酸塩基)]]

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