越智晴雄

越智 晴雄

日本のプロ総合格闘家、越智晴雄（おち はるお）は、1984年2月7日、愛媛県西条市に生まれた。パラエストラ愛媛に所属し、DEEPストロー級の頂点に君臨する選手として知られている。彼のキャリアは、多様なスポーツ経験と粘り強いファイトスタイルに支えられている。

初期キャリアとプロデビュー

高校時代は野球部に所属。大学から空手を始め、その後ボクシング部で研鑽を積んだ。並行して、パラエストラ愛媛で総合格闘技のトレーニングを開始する。こうしたバックボーンが、後のオールラウンダーとしての礎を築いた。

2007年、第14回全日本アマチュア修斗選手権フェザー級で3位に入賞し、プロ修斗のライセンスを取得。プロキャリアへの扉を開いた。

プロデビューは2008年。修斗フェザー級新人王トーナメントの1回戦で戸澤真澄美と対戦し、強烈な裏投げによる失神KOで衝撃的な勝利を飾る。2回戦では根津優太と対戦し、ローキックで劣勢に立たされるも、ブルドッグチョークで逆転の一本勝ちを収めた。しかし、準決勝でエダ“塾長”こうすけに判定負けを喫し、この年の新人王獲得はならなかった。

翌2009年も修斗新人王トーナメントに参戦するが、対戦相手の負傷による不戦勝が2試合続き、決勝へ進出。決勝戦で吉田圭多と対戦するも、延長戦の末に敗退。公式記録は引き分けとなった。

2010年にはフェザー級からバンタム級に階級を下げ、井島裕彰に判定勝利。2011年には、前年度の修斗新人王であるランボー宏輔を左フックでKOし、続く神酒龍一にはスプリット判定で勝利を収めた。

2012年3月には、修斗のリングでパンクラス王者の清水清隆を迎え撃ち、2-0の判定勝ちを収める金星を挙げた。しかし、同年11月の神酒龍一との再戦では判定負けを喫し、リベンジを許す形となった。

DEEPへの転向と王座獲得

2013年、越智は活動の場をDEEPへ移す。DEEP初出場となった10月のDEEP TOKYOで島袋チカラと対戦し、ギロチンチョークで見事な一本勝ちを収めた。同年12月には、DEEPフライ級王者の和田竜光とノンタイトル戦で対戦するも、テイクダウンを許す展開となり判定負けを喫した。

2014年6月、元DEEPフェザー・バンタム級王者の今成正和と対戦。打撃とパウンドで優位に進め、今成の左瞼からの出血によるドクターストップでTKO勝利を収める大きな実績を挙げた。同年大晦日には前田吉朗と対戦するも、判定で敗れた。

2016年、DEEPストロー級初代王者決定トーナメントに参戦するが、1回戦でカンサトーに1-2の僅差の判定で敗れ、初代王者への道は閉ざされた。

しかし、越智の真価はここから発揮される。2017年9月、DEEP 79 IMPACTでストロー級タイトルマッチに臨み、初代王者となったカンサトーと再び対戦。巧みなタックルで試合を有利に進め、2ラウンドにはフロントチョークで一本勝ち。自身初のメジャータイトルとなる、第2代DEEPストロー級王座を獲得した。

2018年4月の初防衛戦では、挑戦者である柴田“MONKEY”有哉をフルマークの判定で破り、王座初防衛に成功した。

RIZIN参戦と王座陥落

2018年9月、越智はRIZINの舞台に初登場。RIZIN.13でパンクラスストロー級王者の砂辺光久と対戦。得意の左フックでダウンを奪い、追撃のサッカーボールキックで鮮やかなKO勝利を飾り、強烈なインパクトを残した。

2019年3月、DEEP 88 IMPACTでのストロー級タイトルマッチで挑戦者・川原波輝を相手にフルマークの判定勝ちを収め、2度目の王座防衛に成功する。

同年8月、RIZIN.18でストロー級世界ランキング1位とされるジャレッド・ブルックスと対戦するが、偶発的なバッティングにより試合はノーコンテストとなる。約4ヶ月後のBELLATOR JAPANでのRIZIN提供試合でブルックスと再戦するも、判定で敗れた。

2020年8月、DEEP 94 IMPACTのストロー級タイトルマッチで、再び挑戦者となった川原波輝と対戦。2ラウンド、リアネイキッドチョークで一本負けを喫し、王座を明け渡した。

フライ級挑戦と王座返り咲き

王座陥落後、越智は新たな挑戦としてフライ級に階級を上げ、2021年9月に渋谷カズキに判定勝ち。同年11月にはRIZIN.32で曹竜也にも判定勝利を収めた。しかし、2022年8月のDEEPフライ級グランプリ1回戦では本田良介に判定で敗れ、トーナメントから姿を消した。

フライ級での挑戦を経て、越智は再び主戦場であるストロー級へ戻る。2023年12月、DEEP 117 IMPACTでDEEPストロー級暫定王座決定戦に臨み、佑勢乃花と対戦。1ラウンド、グラウンドで相手を抱え上げて叩きつける強烈なスラムでKO勝利。暫定ながらDEEPのベルトを取り戻し、観客を熱狂させた。

そして2024年5月、DEEP TOKYO IMPACTでDEEPストロー級王座統一戦が行われ、正規王者である川原波輝との約4年ぶり3度目の対戦が実現。この宿命とも言える一戦で、越智は1ラウンド、得意のギロチンチョークで一本勝ちを収め、見事に王座統一に成功。名実ともに第4代DEEPストロー級正規王者として、再び頂点に返り咲きを果たした。

2025年3月には、約3年4ヶ月ぶりのRIZIN参戦が決定。第2代WARDOG CAGE FIGHTストロー級王者の中務修良を相手に、3ラウンドにギロチンチョークで一本勝ちを収めている。

越智晴雄は、幾度もの階級変更や王座陥落を経験しながらも、その度に這い上がり、タイトルを取り戻してきた粘り強いベテランファイターである。豪快なKO勝利からテクニカルな一本勝ち、そしてフルラウンド戦い抜く判定勝利まで、試合ごとに様々な展開を見せ、ファンを魅了し続けている。

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