趙伯圭

趙伯圭（ちょう はくけい）

趙伯圭（生年不詳 - 嘉泰2年9月25日（1202年10月12日））は、南宋時代の皇族であり、字は禹錫（うしゃく）、諡は憲靖（けんせい）。秀安僖王（しゅうあんきおう）趙子偁（ちょうししょう）の子で、第2代皇帝である孝宗（こうそう）の同母兄にあたります。

経歴

孝宗の在位中には、明州（みんしゅう）知州（ちしゅう）・沿海制置使（えんかいせいちし）を歴任し、顕謨閣直学士（けんもかくちょくがくし）・龍図閣直学士（りゅうとかくちょくがくし）も務めました。光宗（こうそう）が即位すると少師（しょうし）に昇任し、後に太保（たいほ）となっています。紹熙（しょうき）2年（1191年）には判大宗正事（はんだいそうせいじ）に任じられ太師（たいし）となり、崇信軍節度使（すうしんぐんせつどし）も兼ねました。

嘉泰（かたい）2年（1202年）に亡くなると、崇王（すうおう）を追贈されています。

子には趙師夔（ちょうしき）・趙師揆（ちょうしき）・趙師垂（ちょうすい）・趙師禼（ちょうせつ）・趙師禹（ちょうしう）・趙師皋（ちょうこう）・趙師嵒（ちょうがん）・趙師弥（ちょうび）・趙師貢（ちょうこう）の9人がいます。また、弟である孝宗の提案により、明州時代から関係があった同地出身の宰相・史浩（しこう）の末子である史弥堅（しびけん）（史弥遠（しびえん）の弟）に、娘の新安郡主（しんあんぐんしゅ）を嫁がせています。

南宋末から元初にかけて活躍した政治家・文人である趙孟頫（ちょうもうふ）は、趙師垂の曾孫にあたります。

日本との関係

乾道（けんどう）8年（日本の承安（じょうあん）2年/1172年）9月、明州知州・沿海制置使の任にあった際、「日本国王」（後白河法皇（ごしらかわほうおう））および「日本国太政大臣」（平清盛（たいらのきよもり））宛てに方物（ほうもつ）が送られています。乾道9年（承安3年/1173年）3月には、後白河法皇に返書を命じられ、清盛から「日本国沙門静海諜す 大宋国明州沿海制置使王」という書き出しで始まる書状が送られています。

逸話

明州知州・沿海制置使であった隆興（りゅうこう）・乾道年間には、海賊の討伐や貿易の振興に尽力しました。ある時、南方にある真里富国（しんりとみこく）の商人が多額の財物を残したまま明州で急死するという出来事がありました。明州の役人は、法に基づいて商人が残した財物を没収することを趙伯圭に進言しましたが、彼は「遠方の客の不幸に乗じて利益を得る事は出来ない」と述べ、商人の遺体を棺に納めて財物とともに母国へ送り返したと言われています（楼鑰（ろうやく）『攻媿集（こうきしゅう）』巻86「皇伯祖太師崇憲靖王行状」）。

系譜

太祖 - 秦王 趙徳芳 - 英国公 趙惟憲 - 新興侯 趙従郁 - 華陰侯 趙世将 - 慶国公 趙令譮 - 秀安僖王 趙子偁 - 崇王 趙伯圭

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