足に触った幸運
映画『足に触った幸運』の概要
『足に触った幸運』（あしにさわったこううん）は、1930年10月3日に公開された日本の映画で、松竹キネマが製作し配給を行いました。この作品は小津安二郎が監督を務め、サラリーマンの日常生活における喜怒哀楽を描いています。映画はモノクロでスタンダードサイズ、サイレント映画として74分間の上映時間があります。原作と脚色を手掛けたのは野田高梧で、タイトルは別の作品『足にさわった女』からインスパイアを受けたものです。
初回の上映は帝国館で行われたが、現在ではネガ原版や上映用フィルムは保存されていません。シナリオは幸運にも現存しており、1993年に刊行された『小津安二郎作品集 1』や、2003年の『小津安二郎全集 上』に収められています。
あらすじ
本作の主人公である古川貢太郎は、ある日通勤途中に新聞紙に包まれた大金4,000円を見つけます。善良な性格の貢太郎は、この金を交番に届けることを決意します。この行動を評価された結果、落とし主の久保井から感謝の印として500円をお礼として受け取ることに。しかし、この出来事が社内で広まり、予想外に同僚たちにたかられる羽目になります。貢太郎の心の内を描いたこの物語は、善行とその結果ともに、私たちの日常での人間関係の複雑さを示しています。
スタッフとキャスト
映画『足に触った幸運』の監督は小津安二郎であり、脚本は野田高梧が担当しました。撮影は茂原英雄が行っています。キャストには、古川貢太郎役に斎藤達雄、妻の俊子には吉川満子が出演し、子どもたちとして長男役に青木富夫、長女役に市村美津子が登場しています。また、吉村老人役には関時男、山野には毛利輝夫、大井には月田一郎、課長役に阪本武、そして久保井役に大国一郎がキャスティングされています。
本作の影響と評価
『足に触った幸運』は小津安二郎の監督作品として、当時の日本社会におけるサラリーマンの生活をリアルに描写し、理解と共感を呼び起こしました。サラリーマンの苦悩や喜びを巧みに表現した物語は、観客に深い印象を残し、小津作品特有の人間観察が光ります。映画自体は現存のフィルムが存在しない疲れた状態ですが、シナリオは今なお多くの映画ファンや研究者にとって貴重な資料となっています。
参考文献
外部リンク
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