足利満詮

足利満詮（あしかが みつあきら）は、南北朝時代から室町時代にかけて活躍した武将です。室町幕府第2代将軍・足利義詮の四男として生まれ、母は紀良子。第3代将軍・足利義満とは同母兄弟にあたります。満詮という名は、父・義詮と兄・義満からそれぞれ一字ずつ賜ったものとされています。

満詮は幼少の頃、九州に足利将軍家の親族を配置するという計画において候補者の一人となりましたが、この計画は実現には至りませんでした。その後、満詮は幕閣にあって兄・義満を陰ながら支える立場を貫き、永和4年（1378年）に義満が東寺へ出陣した際には、数百の兵を率いて参陣しています。

生母である紀良子と共に武者小路の小川第に住み、応永9年（1402年）には従三位参議、応永10年（1403年）12月には従二位権大納言へと順調に出世を重ねました。しかし、その年の12月7日、小川第にて義満自らの手によって剃髪し出家、勝山道智と号しました。

応永23年（1416年）に上杉禅秀の乱が勃発した際には、甥にあたる第4代将軍・足利義持が対応に迷う中、満詮は速やかに鎌倉公方・足利持氏を救援するよう進言したと伝えられています。

応永25年（1418年）5月14日、満詮は病のため逝去。享年55歳でした。等持院にて荼毘に付され、贈従一位左大臣、養徳院贈左府の諡号が贈られています。

満詮は義満の同母弟として、多くの大名から敬愛されていたとされ、その葬儀の際には「諸人これを惜しむこと父の如し」とまで言われたそうです。満詮の室には藤原誠子がおり、一子である地蔵院持円（じえん）を産みました。持円は将軍・義持から「持」の字を賜っています。しかし、義満は満詮の存命中である応永13年に藤原誠子を召し出し、一子・義承を産ませています。このエピソードは、生涯を通して破天荒な女性関係を持った義満と、常に兄に従順であった満詮との対照的な生き様を物語るものと言えるでしょう。

満詮の子女はいずれも僧籍に入ったため、子孫は残らなかったとされています。『看聞日記』応永25年5月16日条には、満詮の病状が悪化した際、義持の嫡男・義量に娘を嫁がせることを条件に所領を譲る約束をしたものの、満詮の死後、義持は満詮の娘を無理に出家させ、義量と離縁させたと記されています。また、『建内記』応永35年正月18日条によれば、義量の病が重篤になった際、満済と幕閣は一門の中から籤引きで還俗させて将軍家を継がせることを決定しましたが、義持は「但於二他人之御猶子一者不レ可二用申一」という条件を付け、候補者を自身の弟4名に絞り込みました。これは、死の間際まで満詮の流れを排除し、義満の血統を守ろうとした義持の強い意志の表れであると考えられています。

官歴
1376年（永和2年）1月8日：従五位下
1380年（康暦2年）2月18日：左馬頭
1387年（至徳4年）1月：従五位上、左馬頭如元
1388年（嘉慶2年）12月12日：従四位下、左兵衛督
1402年（応永9年）1月6日：正四位下、左兵衛督如元。3月28日：参議。8月21日：従三位。8月22日：参議辞任
1403年（応永10年）6月14日：権中納言。12月3日：従二位、権大納言。12月7日：出家

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