紀良子

紀良子（きの りょうし/きの よしこ）は、建武3年/延文元年（1336年）に生まれ、応永20年（1413年）に没した、南北朝時代から室町時代にかけての女性です。室町幕府2代将軍・足利義詮の側室であり、3代将軍となる足利義満、そしてその弟である満詮の生母として知られています。彼女は「北向」という号を持っていました。

良子は、石清水八幡宮の検校であった善法寺通清の娘として生まれました。彼女の母である智泉尼聖通は、順徳天皇の皇子である四辻宮善統親王の孫にあたるとも伝えられています。このことが、義満の皇胤説を生む一因となり、皇室との関係に影響を与えたとも考えられていますが、この系譜の真偽は定かではありません。また、義満自身が自身の母系の出自を皇胤であると主張した事実は確認されていません。

良子の姉妹には、後円融天皇の生母である紀仲子と、伊達政宗の正室である輪王寺殿がいます。このため、後円融天皇と義満、そして伊達氏宗は、母方の従兄弟という関係になります。

足利義詮の正室であった渋川幸子は、千寿王丸という息子を産みますが、千寿王丸は5歳で早世してしまいます。そのため、良子が産んだ義満が嫡子となり、幸子を准母として養育されることになります。義満は、生母である良子よりも、准母である幸子の方を重んじていたとされています。永徳元年（1381年）に幸子が従一位を授けられた際、良子は従二位であり、後に従一位に叙されています。

良子は春屋妙葩に深く帰依し、応永20年（1413年）に亡くなりました。彼女の法号は洪恩院殿月海如光禅定尼です。

参考文献

* 小川剛生『足利義満』中公新書、2012年8月。ISBN 978-4-12-102179-3

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