足羽進三郎

足羽 進三郎：日本の農学者と協同組合の先駆者

足羽進三郎（あすわしんざぶろう、1911年5月31日 - 1998年2月13日）は、日本の農学、特に協同組合論において大きな影響を与えた学者であり、同時に官僚や実業家としても多くの業績を残しました。北海道札幌市に生まれ、彼の学問と実務の両面での活動は日本社会の発展に寄与しました。

学歴と初期のキャリア

彼の教育は1929年に札幌一中を卒業したところから始まりました。その後、1936年には北海道帝国大学の農学部を卒業しました。この学びの時期に、彼は上原轍三郎教授に薫陶を受け、そこから多くの知識と思想を吸収しました。彼の教育者としての道は、同年に宮崎県庁に勤務したことにより、その後台北帝国大学の専任講師としてのキャリアへと繋がります。これらの経歴は、彼が学問を通じて発展させた地域社会への貢献を示しています。

大学と協同組合の発展

1946年には北海道農会の主事として活動を始め、1948年からは農林省の北海道作物報告事務所課長を務めました。その後、1952年には北海道大学農学部の講師に就任し、1953年には助教授に、1961年には教授として名誉の地位に上がりました。彼は1962年に「農業協同組合の資本構造」というテーマで農学博士の学位を取得しました。

足羽は1971年に農学部長に就任し、1975年まで北海道大学生活協同組合理事長を務めました。彼の任期中、協同組合に対する理解と研究が進み、後の各種協同組合の運営においても大きな影響を与えました。

教育と実業界での活動

1975年には北海道大学を退官し、名誉教授の称号を受けた後、札幌商科大学の商学部教授として新たな道を歩みました。その後、同大学の商学部長や、札幌商科大学学長を歴任するなど、教育界でも指導的な役割を果たしました。教育の傍ら、北海道生協連の会長として地域の生協運営にも積極的に関与しました。

1988年には札幌学院大学を退職し、その後も生活協同組合コープさっぽろの会長として地域の発展を支えました。彼が持つ経済と協同組合の知識は、地域社会の活動において非常に重要な役割を果たしました。

叙勲と著作

彼の数々の貢献は評価され、1988年には勲二等瑞宝章を授与されました。また、足羽は著作も多く、特に『農協の現状と課題』（編著, 東洋経済新報社, 1974年）や『農業協同組合の研究』（北海道大学図書刊行会, 1976年）などが知られています。これらの著作は、彼の研究成果を広く伝える重要な資料となっています。

結び

足羽進三郎の仕事は、単なる教育や官吏としての存在を超え、農学や協同組合論の研究を通じて日本の農業と地域社会に深い影響を与えました。彼の生涯を通じての学問と実践は、多くの後進への道を拓き、今日の日本における協同組合の発展に貢献しました。

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