跡部景家

跡部 景家（あとべ かげいえ）

跡部景家は、室町時代に甲斐国で活躍した武将である。彼の父、跡部明海と共に、甲斐国の中で重要な役割を果たし、特に輪宝一揆においてその存在を顕著にした。武田家を支えながら権力を持ち続けた彼の生涯は、内乱や権力争いに満ちたものであった。

背景

跡部氏の起源は、信濃国の小笠原氏の庶流にあたる。彼らは元々、信濃国佐久郡に本拠を構え、地域の有力者として活動していた。応永23年（1416年）には、甲斐の守護である武田信満が上杉禅秀の乱の影響で討伐され、自害します。この事件により、甲斐国は守護不在の混乱状態に陥り、甲斐国人衆による内乱が勃発しました。

その後、応永25年（1418年）に武田信元が甲斐国の守護として派遣され、跡部明海と景家はこの時、甲斐守護代として位置づけられました。これにより跡部氏はさらに権力を強化していくことになる。

権力の拡大

信元の死後、跡部景家は同じく武田家の信長に対抗する立場となり、応永28年（1421年）には荒川で合戦が発生。景家は国人衆の支持を得て、力をつけていく。特に輪宝一揆を経て跡部氏は勢力を拡大し、永享5年（1433年）には信長を敗退させるなど、実績をあげる。

その後、景家は室町幕府との交渉で武田信満の嫡男・信重を守護として迎え入れる方針を進め、甲斐国への影響力を高めていった。信重の死後、幼少の信昌が後継者となるが、実権は依然として景家が握っている状態であった。

内乱と転落

長禄元年（1457年）までの合戦では景家は信昌に勝利を収め、岩崎氏を滅ぼすが、その後の権力闘争の中で次第に優位性を失っていく。寛正5年（1464年）には父明海が死去し、その翌年、信昌が信昌を討伐する策を講じ、ついに夕狩沢において合戦となる。この戦では景家は敗れ、小田野城に逃げ込むも、最終的にはそこで自害に追い込まれることとなった。

伝説と影響

景家の死後も、彼の名は恐れられ続け、後には怨霊として畏敬される存在となった。特に、彼が着用していた楯無鎧に関する伝承は有名であり、景家が着用している際に矢が鎧を貫通して討ち取られるという物語が語り継がれた。

子孫

跡部景家の直系の子孫については不明な点が多いものの、戦国時代には跡部勝資や跡部泰忠といった人物が武田家の家臣として存在していた。また、江戸時代には跡部昌忠がおり、跡部氏の血脈は続いていることが確認されている。

跡部景家の生涯は、甲斐国の歴史に大きな影響を与えており、彼の業績とその後の運命は、多くの人々に記憶され語り継がれることとなった。

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