踊る龍宮城

「踊る龍宮城」は、1949年8月1日に松竹配給で公開された日本の音楽映画です。佐々木康が監督を務めました。

この映画は、キネマ旬報の再建62号において、「桃色河童騒動」という作品の改題であると記述されていますが、その詳細については明らかになっていません。しかし、当時の人気歌手や松竹歌劇団による華やかなレビューシーンがふんだんに盛り込まれた、音楽を主体とした作品であることは間違いありません。オペレッタ映画、あるいはミュージカル映画に分類されることがあります。

特筆すべきは、この映画が美空ひばりの映画デビュー作であるということです。同年3月に映画デビューを果たしたばかりの彼女が、河童の扮装で登場し、デビュー曲である「河童ブギウギ」を歌い上げるシーンは、映画史に残る名場面と言えるでしょう。

劇中では、以下の楽曲が使用されています。

「河童ブギウギ」：作詞 藤浦洸、作曲 浅井挙曄、歌 美空ひばり
「楽しいささやき」：作詞 丘灯至夫、作曲 田代与志、歌 霧島昇
「こんど逢うまで」：作詞 丘灯至夫、作曲 万城目正、歌 霧島昇・奈良光枝
「花咲く乙女」：作詞 丘灯至夫、作曲 万城目正、歌 並木路子
* 「さよならワルツ」：作詞 鈴木勝、作曲 レイモンド服部

これらの楽曲は、当時の流行歌を代表するものであり、映画の華やかさをより一層引き立てています。

映画のタイトルにある「龍宮城」は、日本の民話「浦島太郎」に登場する海の底にある宮殿を指しています。この映画が、浦島太郎の物語をどのように解釈し、映像化したのかは不明ですが、レビューシーンなどを通して、観客を夢の世界へと誘う華やかな作品であったと推測されます。

「踊る龍宮城」は、戦後間もない時期に製作された映画でありながら、当時のエンターテイメントの粋を集めた、貴重な映像資料です。音楽映画としての魅力はもちろんのこと、当時の社会風俗や文化を知る上でも、重要な作品と言えるでしょう。

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