奈良光枝
奈良光枝（なら みつえ）は、1923年（大正12年）6月13日に青森県弘前市で生まれ、1977年（昭和52年）5月14日に53歳でこの世を去った昭和時代の歌手です。本名を佐藤みつえといい、その美貌と歌声で多くの人々を魅了しました。
弘前高等女学校（現在の青森県立弘前中央高等学校）を卒業後、兄の学友であった作曲家、明本京静の勧めで東洋音楽学校に進学します。しかし、病弱だったためクラシックやオペラを断念せざるを得ませんでした。そのことを明本に相談したところ、「マイクロフォンを使う歌手なら大丈夫」と助言を受け、1940年（昭和15年）3月、16歳でコロムビアのテストに合格し、専属歌手としてのキャリアをスタートさせます。
同年6月に「胡弓哀歌」をレコーディングしますが、検閲により発売禁止となります。その後、二作目の「南京花嬌子」で流行歌手としてデビューを果たしました。初期の活動では目立ったヒット曲に恵まれず、主に軍の病院などを慰問する生活を送っていました。
1942年（昭和17年）、娘の将来を心配した父親の嘆願により、作曲家の古賀政男に師事します。その後、藤山一郎とデュエットした映画「青空交響楽」の主題歌「青い牧場」が初のヒットとなりました。当初、この曲は映画の主演者である杉狂児と朝雲照代がレコーディングしましたが、検閲当局から杉のヤギの鳴き声がふざけていると指摘され、発売が見送られた経緯があります。
戦後、奈良は千葉泰樹監督にその美貌を認められ、大映映画「或る夜の接吻」で主演に抜擢されます。この映画で共演した若原雅夫とのキスシーンが話題となりましたが、実際の映画では傘で二人のキスを隠すという演出が用いられ、GHQの不満を買うという結果となりました。しかし、主題歌の「悲しき竹笛」は大ヒットし、デュエットした近江俊郎もスターダムにのし上がりました。
近江俊郎とのコンビはその後も続き、「愛の灯かげ」「新・愛染かつら」など数々のヒット曲を世に送り出します。他にも「雨の夜汽車」「青い山脈」「赤い靴のタンゴ」など数々のヒット曲を放ち、人気投票では常に上位にランクインするほどのトップスターとなります。また、NHK紅白歌合戦には9回連続で出場しています。
映画界でも活躍し、「踊る竜宮城」「シミキンの忍術凸凹道中」「七変化狸御殿」などの音楽映画には欠かせない存在でした。また、「修道院の鐘」では修道女役として主演を果たしています（歌唱シーンはなし）。
1948年（昭和23年）、NHKのプロデューサーであった佐藤邦彦と結婚。一人息子の克彦は、父の実家の旅館を継ぐために熊本へ移り住んでいます。結婚後もテレビやステージで活動を続けますが、1976年（昭和51年）夏に体調を崩し、療養生活に入ります。1977年5月14日、癌性腹膜炎のため、入院先の聖路加病院で亡くなりました。53歳という若さでした。後日、コロムビア文芸部葬が青山斎場で執り行われました。
1978年7月9日放送の「第九回 郷愁の歌まつり」では、亡き人を偲ぶコーナーで奈良光枝が紹介され、由紀さおりが「悲しき竹笛」を歌唱しました。
奈良光枝の代表曲には以下のようなものがあります。
「南京花嬌子」(1940年10月20日発売) - デビュー曲。
「翡翠の曲」(1942年12月20日発売）- 東宝映画「阿片戦争」主題歌。
「故郷の花」(1942年12月20日)
「青い牧場」(1942年12月25日発売) - 大映映画「青空交響楽」主題歌。
「こだま」(1943年6月20日発売)
「勝利の日まで」(1945年1月発売）- 東宝映画「勝利の日まで」主題歌。
「祖国の花」(1945年1月発売）- 東宝映画「勝利の日まで」主題歌。
「乙女舟」(1946年5月20日発売) - 大映映画「或る夜の接吻」主題歌。
「悲しき竹笛」- 「乙女舟」のB面だったが、A面よりもヒット。
「雨の夜汽車」(1948年9月発売）- ソロでの初ヒット曲。
「新愛染かつら」(1948年11月15日発売) - 大映映画「新愛染かつら」主題歌。
「愛の灯かげ」(1948年12月20日発売) - 新[[東宝映画]]「愛よもういちど」主題歌。
「あの日の夢」(1949年1月発売）
「青い山脈」(1949年3月10日発売) - 東宝映画「青い山脈」主題歌。彼女最大のヒット曲。
「恋の山彦」(1950年5月20日発売)
「赤い靴のタンゴ」(1950年6月15日発売）
「佐々木小次郎旅姿」(1950年12月発売）- 東宝映画「佐々木小次郎」主題歌。
「白いランプの灯る道」(1951年1月15日発売)
「母待草」(1951年8月発売）- 松竹映画「母待草」主題歌。
「夢と知りせば」(1951年12月発売) - 松竹映画「夢と知りせば」主題歌。
「りんどうの丘」(1952年1月発売）
「白樺の宿」(1952年8月発売) - 初出場の第3回NHK紅白歌合戦の時に披露した曲。
「女ごころの赤い鳥」（1953年3月20日発売）
「夕べ仄かに」（1953年3月15日発売）
「秋草の歌」（1954年2月10日発売）
「嘆きの夜曲」（1956年3月発売）
「シクラメン咲けど」(1955年3月発売) - 大映映画「暁の合唱」主題歌。
「由起子はいつも」(1955年4月発売）- NHK連続放送劇「由起子」主題歌。
* 「なぎさの唄」(1956年3月発売)
奈良光枝は、その美しい容姿と歌声で多くの人々を魅了し、昭和の歌謡界、映画界を代表するスターの一人として、その名を歴史に刻みました。
生い立ちと音楽への道
弘前高等女学校（現在の青森県立弘前中央高等学校）を卒業後、兄の学友であった作曲家、明本京静の勧めで東洋音楽学校に進学します。しかし、病弱だったためクラシックやオペラを断念せざるを得ませんでした。そのことを明本に相談したところ、「マイクロフォンを使う歌手なら大丈夫」と助言を受け、1940年（昭和15年）3月、16歳でコロムビアのテストに合格し、専属歌手としてのキャリアをスタートさせます。
デビューと初期の活動
同年6月に「胡弓哀歌」をレコーディングしますが、検閲により発売禁止となります。その後、二作目の「南京花嬌子」で流行歌手としてデビューを果たしました。初期の活動では目立ったヒット曲に恵まれず、主に軍の病院などを慰問する生活を送っていました。
ヒットのきっかけと映画界への進出
1942年（昭和17年）、娘の将来を心配した父親の嘆願により、作曲家の古賀政男に師事します。その後、藤山一郎とデュエットした映画「青空交響楽」の主題歌「青い牧場」が初のヒットとなりました。当初、この曲は映画の主演者である杉狂児と朝雲照代がレコーディングしましたが、検閲当局から杉のヤギの鳴き声がふざけていると指摘され、発売が見送られた経緯があります。
戦後、奈良は千葉泰樹監督にその美貌を認められ、大映映画「或る夜の接吻」で主演に抜擢されます。この映画で共演した若原雅夫とのキスシーンが話題となりましたが、実際の映画では傘で二人のキスを隠すという演出が用いられ、GHQの不満を買うという結果となりました。しかし、主題歌の「悲しき竹笛」は大ヒットし、デュエットした近江俊郎もスターダムにのし上がりました。
人気歌手としての活躍
近江俊郎とのコンビはその後も続き、「愛の灯かげ」「新・愛染かつら」など数々のヒット曲を世に送り出します。他にも「雨の夜汽車」「青い山脈」「赤い靴のタンゴ」など数々のヒット曲を放ち、人気投票では常に上位にランクインするほどのトップスターとなります。また、NHK紅白歌合戦には9回連続で出場しています。
映画界でも活躍し、「踊る竜宮城」「シミキンの忍術凸凹道中」「七変化狸御殿」などの音楽映画には欠かせない存在でした。また、「修道院の鐘」では修道女役として主演を果たしています（歌唱シーンはなし）。
結婚と晩年
1948年（昭和23年）、NHKのプロデューサーであった佐藤邦彦と結婚。一人息子の克彦は、父の実家の旅館を継ぐために熊本へ移り住んでいます。結婚後もテレビやステージで活動を続けますが、1976年（昭和51年）夏に体調を崩し、療養生活に入ります。1977年5月14日、癌性腹膜炎のため、入院先の聖路加病院で亡くなりました。53歳という若さでした。後日、コロムビア文芸部葬が青山斎場で執り行われました。
1978年7月9日放送の「第九回 郷愁の歌まつり」では、亡き人を偲ぶコーナーで奈良光枝が紹介され、由紀さおりが「悲しき竹笛」を歌唱しました。
代表曲
奈良光枝の代表曲には以下のようなものがあります。
「南京花嬌子」(1940年10月20日発売) - デビュー曲。
「翡翠の曲」(1942年12月20日発売）- 東宝映画「阿片戦争」主題歌。
「故郷の花」(1942年12月20日)
「青い牧場」(1942年12月25日発売) - 大映映画「青空交響楽」主題歌。
「こだま」(1943年6月20日発売)
「勝利の日まで」(1945年1月発売）- 東宝映画「勝利の日まで」主題歌。
「祖国の花」(1945年1月発売）- 東宝映画「勝利の日まで」主題歌。
「乙女舟」(1946年5月20日発売) - 大映映画「或る夜の接吻」主題歌。
「悲しき竹笛」- 「乙女舟」のB面だったが、A面よりもヒット。
「雨の夜汽車」(1948年9月発売）- ソロでの初ヒット曲。
「新愛染かつら」(1948年11月15日発売) - 大映映画「新愛染かつら」主題歌。
「愛の灯かげ」(1948年12月20日発売) - 新[[東宝映画]]「愛よもういちど」主題歌。
「あの日の夢」(1949年1月発売）
「青い山脈」(1949年3月10日発売) - 東宝映画「青い山脈」主題歌。彼女最大のヒット曲。
「恋の山彦」(1950年5月20日発売)
「赤い靴のタンゴ」(1950年6月15日発売）
「佐々木小次郎旅姿」(1950年12月発売）- 東宝映画「佐々木小次郎」主題歌。
「白いランプの灯る道」(1951年1月15日発売)
「母待草」(1951年8月発売）- 松竹映画「母待草」主題歌。
「夢と知りせば」(1951年12月発売) - 松竹映画「夢と知りせば」主題歌。
「りんどうの丘」(1952年1月発売）
「白樺の宿」(1952年8月発売) - 初出場の第3回NHK紅白歌合戦の時に披露した曲。
「女ごころの赤い鳥」（1953年3月20日発売）
「夕べ仄かに」（1953年3月15日発売）
「秋草の歌」（1954年2月10日発売）
「嘆きの夜曲」（1956年3月発売）
「シクラメン咲けど」(1955年3月発売) - 大映映画「暁の合唱」主題歌。
「由起子はいつも」(1955年4月発売）- NHK連続放送劇「由起子」主題歌。
* 「なぎさの唄」(1956年3月発売)
奈良光枝は、その美しい容姿と歌声で多くの人々を魅了し、昭和の歌謡界、映画界を代表するスターの一人として、その名を歴史に刻みました。
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