蹋頓

蹋頓（とうとん）について

蹋頓は、中国の後漢末期に活躍した烏桓部族の指導者であり、その存在は『三国志』の中で描かれています。彼の従父は丘力居であり、彼が部族を率いることとなった際には、まだ幼かった従い子の楼班が後を継ぐことができない状況でした。そのため、蹋頓は彼の代わりに部族を統率し、さまざまな部族との同盟を形成しました。

生涯と戦闘の経歴

蹋頓は、上谷烏桓の難楼や遼東属国烏桓の蘇僕延、右北平烏桓の烏延などを自らの配下にし、武勇に秀でた指導者として知られていました。命令の徹底ぶりから、彼は部族内で非常に高く評価され、敵に対しても恐れられていました。

当時、袁紹と公孫瓚の抗争が続いていた中で、蹋頓は早くから袁紹と親交を結び、彼の側に立って戦うことを選びました。蹋頓は自らの精鋭騎兵部隊を援軍として送ることで、袁紹の戦力を強化しました。この連携により、袁紹は公孫瓚を打破することができ、さらに自らの力を増強していきました。

袁紹が勝利を収めた後、朝廷の命令を偽造し、蹋頓ら部族の長に印綬を与えて単于の地位を授けました。これにより、蹋頓は王の立場を持つこととなり、彼の影響力は一層強まります。階級の変動にも関わらず、時代は変化し続けていました。

戦いとその結果

やがて、楼班が成長すると、彼は蘇僕延により単于に擁立され、蹋頓は王となりましたが、時局は厳しく、206年には曹操の攻撃に直面します。この攻撃は、白狼山の戦いとして知られ、蹋頓の軍は張遼が指揮する曹操軍との接触を持ちました。彼らは勇敢に戦ったものの、曹操の巧妙な戦略に敗北を喫し、蹋頓自身も捕らわれ斬られてしまいます。

その後、彼の部下である楼班や速附丸、烏延、蘇僕延は連合し、遼東への逃亡を試みます。しかし、太守の公孫康の手によって彼らも殺害されてしまい、これにより三郡の烏桓は完全に敗北を余儀なくされました。残った部隊も降伏し、烏桓は曹操のもとに服属し、重要な兵力供給源となることとなります。

文学における蹋頓

小説『三国志演義』においても蹋頓の存在は描かれています。この物語では、彼は袁紹との友好関係を活かし、袁煕や袁尚が曹操に逃れた際には彼らに協力します。しかし、最終的には張遼との戦闘で敗北し命を落とすことになります。蹋頓は、彼の勇敢さと忠誠心を象徴する存在として後世に記憶されています。

このように蹋頓は、動乱の時代における重要な人物として、彼の生涯や戦績は今もなお研究され続けています。

もう一度検索