蹴合鶏

『蹴合鷄』について

『蹴合鷄』（けいあいどり）は、1928年に公開された日本のサイレント映画で、剣戟映画に分類されます。本作は、マキノ正博監督によるもので、称されたのは南光明が主演を務めた点です。彼は当時、日活で現代劇と時代劇の両方に出演していた俳優であり、マキノプロダクションに迎え入れられ、これが彼の入社後初めての映画作品となりました。

背景と制作の経緯

1927年には日活大将軍撮影所が太秦撮影所に移転し、その結果、同年の4月に大将軍撮影所は閉鎖されることとなりました。この状況の中、南光明はマキノ・プロダクション御室撮影所に参画し、彼の初の作品として『蹴合鷄』が制作されました。更にこの作品は、公開後、マキノ監督の他の作品と共に評価され、キネマ旬報のベストテンで7位にランクインしました。この年、マキノ監督作品が3本もランクインしたことは、彼の才能を証明する出来事でした。

あらすじとキャスト

『蹴合鷄』は、剣戟をテーマにした物語で、曲淵伝右衛門を演じる南光明の活躍が描かれています。共演には松浦築枝（お銀）、津村博（小山田新六）、若松文男（父右内）など、当時の実力派俳優たちが名を連ねています。本作のストーリーは、武士の誇りと忍耐、友情の中で生まれる冲突を舞台に、緊張感のある剣戟が展開されます。観客は、南光明とお銀の関係を通じて、時代に翻弄される人々の姿を垣間見ることができます。

技術的特徴と評価

『蹴合鷄』は白黒映画で、スタンダードサイズ（1.33:1）のフォーマットで制作されています。サイレント映画として、映像で表現する力が問われる中、マキノ正博監督はその独自の演出力を発揮しました。また、撮影を手掛けた松浦茂や、殺陣を担当したマキノ登六の技術も、本作の魅力を高めています。リリース時には浅草の千代田館で初回興行が行われ、多くの観客を魅了しました。

結果と影響

本作は時代劇映画における重要な作品の一つと見なされており、実際に後続の作品にも多大な影響を与えました。マキノ・プロダクションはこの成功を足掛かりに、さらなる作品開発へと進んでいくことになります。南光明をはじめとする当時の俳優たちの活躍も、後の日本映画界における名声を浸透させる要因となりました。

『蹴合鷄』は、日本の映画史に残る金字塔的な作品として、今なお多くのファンに愛されています。正式な公開から数十年が経過した今でも、その剣戟映画の魅力は色あせることなく、多くの映画愛好者の心に残っています。

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