松浦茂

松浦茂：サイレント映画を彩った撮影技師、トーキー時代を支えた編集技師

松浦茂（まつうら しげる、1898年 - 没年不明）は、日本の映画黎明期に撮影技師、編集技師として活躍した人物です。サイレント映画の時代に、映画監督・プロデューサーの牧野省三の元で技術を磨き、その死後も、牧野の息子たちによる映画製作に貢献しました。

マキノ映画での活躍

1898年に生まれた松浦は、1919年に日活関西撮影所に入社。翌年には陸軍飛行戦隊の撮影課に所属し、その後、マキノ映画製作所に入社しました。当初は撮影助手として経験を積み、1923年には撮影技師に昇進。沼田紅緑監督の『生首の薄化粧』で撮影技師としてデビューしました。

1924年、マキノ映画製作所が東亜キネマに吸収合併されると、松浦は東亜キネマ等持院撮影所に勤務。その後、牧野省三が設立したマキノ・プロダクションに移籍し、井上金太郎監督の『或る日の仇討』など、数々の作品でカメラを回しました。1927年には、『悪魔の星の下に』で「松浦詩華留」名義でクレジットされています。1929年に牧野省三が亡くなると、松浦は撮影部の筆頭として、マキノ映画を支えました。

1930年には、『学生三代記』の撮影を担当するなど、マキノ映画の中心的な存在として活躍しましたが、同社は1931年に経営が悪化し、製作を停止。松浦がマキノで最後にカメラを回したのは、吉野二郎監督の『塩原多助』でした。

編集技師への転身

マキノ・プロダクション解散後、松浦は金森万象監督が設立した協立映画プロダクションで数本の作品を手掛けますが、同社もすぐに解散。その後、宝塚キネマに移籍し、14本の作品を撮影しましたが、その多くが久保文憲監督の作品でした。宝塚キネマも1934年に解散し、松浦が撮影技師として関わった作品は、すべてサイレント映画でした。

トーキー映画の時代になると、松浦は日活京都撮影所長の池永浩久が設立した太秦発声映画に移籍し、編集技師に転身。1935年には、志波西果監督の『地雷火組』で編集を担当しました。その後、1940年には斎藤寅次郎監督の『ハモニカ小僧』の編集も担当した記録が残っていますが、その後の消息は不明です。


松浦茂は、サイレント映画の時代からトーキー映画の時代へと移り変わる激動の時代に、撮影技師、編集技師として、日本の映画史に足跡を残しました。彼の作品は、映画黎明期の貴重な資料として、後世に語り継がれています。

主な関連人物・会社

マキノ映画製作所 - マキノ・プロダクション （牧野省三）
協立映画プロダクション （金森万象）
宝塚キネマ （高村正次）
太秦発声映画 （池永浩久）
* J.O.スタヂオ - 東宝映画京都撮影所 （大沢善夫）

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